“交わるセンス”をコンセプトに発動した、新たなパーティー『MINGLE FLAIR』に密着!オーガナイザーの大上真生さんに聞いた、ジャンルの境界線を越えた場所づくりとは。


『MINGLE FLAIR』は、一人ひとりが自己表現をできる場所。これからもこのパーティーを通じて、いろんな人、センス、繋がりを交わらせていきたい。

ここからは『MINGLE FLAIR』のオーガナイザーであるMFlowこと、大上真生さんにインタビュー。大上さんがブレイクダンスに打ち込んでいた思い出の地、『MCAダンススタジオ』をお借りして、今回のパーティーを立ち上げた経緯やそこに込めた想い、今後の展開など、いろいろお伺いしました!

今回のパーティー『MINGLE FLAIR』は、どういった経緯で立ち上げようと思ったんですか?

これまでずっとダンスをしてきた中で、僕が大切にしてきたのが場の空気感や雰囲気なんです。世の中にはダンスバトルやショーを軸にしたイベントはたくさんありますが、競い合うものではなく、ファッションの観点から見ても一人ひとりの個性を最大限に活かせて、自己表現ができる場所を作りたかった。そして、これまで支えてくれた人たちが楽しめて、その人たちに恩返しもできる場所を生み出すことが、自分らしい表現になるのかなと。そう思ったのが、始まりですね。

競い合うのではなく、みんなでその場のグルーヴを楽しみ、分かち合えるパーティーがしたかったと。まさにタイトルでもある、“MINGLE FLAIR=交わるセンス”ですね。以前、2021年に話を伺った時には「ブレイクダンスでパリを目指す!」という言葉が印象的だったんですが、今回のパーティーを見ると、何か心境の変化もあったんですか?

今までは常にライバルがいて、競い合う世界で生きてきました。ブレイクダンスも国際的なスポーツの祭典で競技となり、パリを目指して取り組んでいたんですが、その中でちょっと違和感を感じたんです。自分が本当にやりたいダンスと、国際舞台を目指すためのダンスはズレているなと。だから後者を目指すのはやめて、自分の表現したいダンスへと気持ちを向けた時に、競い合うのではなくみんなで自己表現を楽しむパーティーがしたいと思うようになっていきました。この『MINGLE FLAIR』は、パリを目指していたこれまでの自分と、これからの自分を表現していく葛藤の中で生まれたパーティーでもあるんです。

なるほど、そんな心境の変化があったんですね。大上さんが本当にやりたいダンスとは、どんなものなんですか?

ダンスにストイックに打ち込むという側面は変わりませんが、誰とどこで、どんな雰囲気でやるかをより重要視するようになりました。例えるとすれば、カラオケで一人黙々と歌うよりも、みんなで楽しく歌う…みたいな。練習をするにしても、もっとオープンな路上で仲間とやった方がイケてるなって。

グルーヴ感をより楽しむってことですね!9月29日に行われた『MINGLE FLAIR』に潜入させていただきましたが、この話を聞いて納得が深まりました。今回のパーティーは大上さんが働かれている<BEAMS>がサポートしていますが、そこはどんな経緯で?

<BEAMS>には『TANE.MAKIグランプリ』という社内事業コンテストがあるんです。2019年からスタートしたコンテストなのですが、プライベートだけではなく社内活動においてもダンスの分野で活躍していきたい気持ちから、僕もずっと応募してきました。色々と行動していくうちに上司の方も目をかけてくださり、いろんな人や部署を繋げてくださったこともあって、ようやく2022年に事業プランとして採用されたんです。
その後、社内でもダンス関係の取り組みがどんどんできるようになりました。その中の一つが、スポーツカルチャーを身近に感じるためのきっかけを作るプロジェクトである<BEAMS SPORTS>のチームと共に、日本発・世界初のプロダンスリーグ『第一生命 D.LEAGUE』に出場するプロダンスチーム「KOSÉ 8ROCKS」のチームウェアデザインに関わらせていただいたこと。とてもいい経験を積むことができましたね。

『TANE.MAKIグランプリ』の応募数はいつも多いと聞きますが、すごいですね。2022年に採用された後、第1回目を開催するまでの期間はどんな日々でしたか?

採用された案は、当初はダンスコンテスト&バトルがメインの企画だったんです。でも、先ほどお話しした通り自分の心境の変化もあり、パーティースタイルへとアップデートさせていきました。心境の変化とともにやりたいことを体現していく日々は、すごくいい時間を過ごせたと思います。

第1回目の『MINGLE FLAIR』は僕らが見ても大盛況だったと思うのですが、大上さん自身は振り返ってどうでしたか?

最高の景色が見れたと思います。SHOWCASEをはじめ、音楽も空間も最高でしたが、自分的に一番印象に残っているのは、キューピッドシャッフルの曲に合わせてみんなで踊った演出ですね。実はあの演出、今年結婚した友人のパーティーで見たものなんですよ。アメリカ人の彼女と結婚したので僕も現地に駆けつけ、その時に初めて目にしたんですが、「こんな文化があるんだ!」って衝撃を受けました。おじいちゃんやおばあちゃん、子どもたちも一緒に踊れて、体力も使わずにみんなが楽しめる!今までハードなブレイクダンスをしてきたけど、それ以外にも楽しさがあるんだと再発見できました。だから、どうしても加えたかった演出なんですよ。

大上さんのパーティーステップに合わせて、みんな楽しそうに踊ってましたもんね。あの演出のおかげで、踊ることへのハードルはグッと下がった気がします。

ダンスへのハードルを下げることも含めて、『MINGLE FLAIR』ではとにかくダンスを楽しめる雰囲気が作りたかったんです。

小さなこどもたちも踊ってましたし、ダンサー以外の来場者たちも自分なりの踊りを見せていましたもんね。個人的には、高校生くらいの子たちがDJタイムの時に「踊りに行こうぜ!」的な感じでフロアに飛び込むタイミングを見計らってたのも、なんかいい瞬間だなぁと。あの子たちは大上さんの知り合いですか?

高校のダンス講師も今夏までしてたので、その生徒たちですね。「イベントに行きたい!」と言ってくれてましたし、楽しそうに踊ってたから僕もうれしかった。一応、立場的には講師と生徒という関係ですが、僕にとってはダンス仲間って感じかなぁ。上下関係を超えて繋がり合える、それもダンスの良さなんですよ。

そんな関係性、めちゃいいですね!ってことでここからは、大上さんが尊敬しているブレイクダンスクルー・MORTAL COMBATのKakuさんにも入っていただき、インタビューを続けていきたいと思います。Kakuさん、よろしくお願いします!

Kaku:よろしくお願いします!

MORTAL COMBATのKakuさん。撮影場所としてお借りした新世界の『MCAダンススタジオ』は、MORTAL COMBATが運営しています。詳しくはこちらから

大上さんは、以前はMORTAL COMBATの下部組織に所属してたんですよね?

大上:はい。MORTAL COMBATの次世代を担う、MORTAL COMBAT NEXT GENERATION(通称「ネクスト」)というチームに所属してました。

Kaku:真生は何期生だっけ?

大上:2016年にオーディションをクリアしたので、4期生です。

MORTAL COMBATは日本を代表するブレイクダンスクルーですが、ネクストの一員として活動してきた大上さんにとってどのような存在ですか?

大上:僕がブレイクダンスを始めた中学3年の頃にテレビでMORTAL COMBATを観て、そこから一気にのめり込んでいったので、今でも憧れの存在です。ネクストの一員として活動してた時は、テレビで観てた人たちと同じ空間にいるのが不思議に思うくらい。一緒に踊れるだけで、とにかく特別な時間を過ごせている感覚でした。

緊張も興奮もするけど、ダンスへの熱量がどんどん沸いていく環境ですよね。Kakuさんから見た当時の大上さんの印象はどうですか?

Kaku:当時はネクストも40人くらいいたので、みんなが印象に残る存在かと言えば難しい状況下ですが、真生に関しては入った当初よりもだんだんと印象深くなっていった感じです。僕らはネクストのダンスレッスンを訓練と呼んでいるんですが、真生はなんでもマルチにできるタイプではなく、かなり不器用でしたね。でも、なぜ印象に残っていったかと言うと、できなくても食らいついてできるようになり、自分からアプローチしてくるタイプの人間だったんです。しかも、熱く語ってくる(笑)。「めっちゃグイグイ来るやん」と思ってましたが、それが逆に印象的で、気にかけて見てるとどんどん成長してましたからね。

ダンスへの熱量も、向上心も、バチバチに感じたと。

Kaku:めちゃくちゃ感じました。きっと自分でも不器用なのをわかっていたからこそ、成長するために必要なことを聞きまくり、前のめりで取り組む。これは真生の才能だと思いますし、今の仕事にも行かせてるんじゃないですかね。

大上:とにかく自分をアピールするためにグイグイ行ってました。入った当初はどんな人がいるかもわからなかったので、できることを全力でやるしかなかったんです。でも、周囲のレベルやどのように評価されるかがわかってくると、自分のレベルをもっと上げないと次のフェーズには進めないと気づけました。だから、よりいっそう熱量も高まっていったんです。同じ動きをしてても全然違うように見えるのは、やっぱりクオリティと質感の差。このレベルまで高めるにはどんな訓練が必要なのかと、メンバーの方々の取り組み方から真似していきました。Kakuさんは練習前に持久力を高めるためのタバタトレーニングをしていたので、自分も取り入れてみて「これをすることで、こうなるのか」と身をもって体感することで、着実にレベルアップしていけたんです。

圧倒的な存在が近くにいたからこそ、その差をどう埋めていくかも明確だったんですね。Kakuさんから見て、そんな真生さんが<BEAMS>で自身のパーティーを立ち上げ、成長していってる姿をどう感じますか?

Kaku:ネクストを卒業してから「どうしてるかな?」と思う子たちもいますが、真生とはずっと関係が続いていて、今も別の場所で一緒に練習したり、行政と行っている夢・授業のサポートもしてもらってるんです。彼は本気になるのが上手な子だから、ネクストを離れて<BEAMS>の世界でも違うベクトルで本気になってる姿を見れるのは、すごくうれしい。僕らの中では観客を湧かせることを“かます”と言ってるんですが、お互いにかまし合って、またどこかで手を組むことができれば、さらに大きなことができるんじゃないかなと。そんな話をいつも風呂に入りながらしゃべってるんですよ。そして、やるなら絶対に中途半端にするなよってね。

大上:本当にいつもKakuさんの言葉が刺さってます。これからもいろんなことを相談したいので、よろしくお願いします!!!

MORTAL COMBATと『MINGLE FLAIR』が、またどこかのタイミングで手を組めたら、それはすごいことだし、めちゃくちゃおもしろいことが起きそうですね!Kakuさん、お時間いただきありがとうございました!!では最後に、『MINGLE FLAIR』の今後の展望について聞かせてください!

今の自分があるのもダンスのおかげだし、人との繋がりにおいてもダンスがあったからこそ。いろんな景色を見せてくれたダンスは、自分にとって一生もんの宝なんです。だから、これからもずっと続けていきたいですし、『MINGLE FLAIR』を通じて、自己表現する楽しさをもっとたくさんの人に知ってもらいたい。一般的なダンスイベントだと集まる方々も偏りがちですが、『MINGLE FLAIR』にはジャンルの境界線を越えて様々な人たちが集まってくれたので、2回目以降もそんな場所になれたらなと思ってます。そして、“交わるセンス”でいろんな繋がりが生まれて広がる場所に育てていきたいですね。『MINGLE FLAIR』が、みんなにとっての大切な場所の一つになれるように、僕はどんどん突っ走っていきます!!


<INFORMATION>

MINGLE FLAIR

“交わるセンス”をコンセプトに、ダンスやファッション、音楽、アート…など、いろんな人のセンスが交わる場所を生み出すために立ち上げられたパーティー。オーガナイザーは、MFlow名義でダンサーとして活動する大上真生さん。第2回目はよりパワーアップして、2025年2月中旬に本町にて開催予定なので、乞うご期待を!

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Profile

大上 真生

1998年大阪生まれ。中学生の時にマイケル・ジャクソンのPVを見て、ムーンウォークに憧れてダンスの道に。同時期にダンスを始めた兄の影響とMORTAL COMBATに触発され、以来、ブレイクダンスにのめり込んでいく。高校卒業後はUSJでパフォーマーとしても活動し、2016年に<BEAMS>に入社。MORTAL COMBATの下部組織・ネクストの一員だった時期もあり、現在はチームを卒業したものの、ライフワークとしてブレイクダンスを続けている。そして、2024年9月に“交わるセンス”をコンセプトとした新しいパーティー『MINGLE FLAIR』を立ち上げ、いろんな人が自己表現を楽しめる場所を提供している。

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