日本舞踊家とファッションブランド<Jungle & son’s>のディレクター。二役をこなす重岡大智さんが発信する、新しいカルチャーのかたち。


色んなライフスタイルを生きている皆さんの普段の日常の中で普遍的にカッコいいと思ってもらえるようなものでありたい。

これから先のプランは?<鵬扇流>の家元を継ぐ身としてもそうですし、<Jungle & son’s>としての展望などもあったりしますか。

<Jungle & son’s>に関しては、もともとこのプロダクトを使って稼ぎたいという野望めいたものはあまりなくて(笑)、自分の好きなカルチャーとその世界観の表現方法としてスタートしたので、単に服を作って売るだけではなくライフスタイルの一つとして受け入れてもらえたら、という思いがあります。バイカーだけのものではなく、色んなライフスタイルを生きている皆さんの日常の中で、普遍的にカッコいいと思ってもらえるようなものでありたい。身に着けてくれた人がみんな「自分の人生の主役は自分である」ことを思い出して、カッコよくいてもらえるような。

素敵ですね!ビジネスである以前に、そのマインドこそ、自身が発信するカルチャーとしての大切な存在証明というか。

世代関係なく楽しめるジャンルの中でも、ファッションの存在はすごく大きいと思うんです。ただ何をどう着るのかという行為だけではなく、僕自身はライフスタイルすべてを我が者にできている人がトータルでカッコいいと感じるので。<Jungle & son’s>をそのスタイルの中に入れてもらえたらありがたいですね。

確かに、何かを表現したいという気持ちがベースにあると、単なるマネーゲームだけだと虚しくなりそうですよね。

とは言え、ブランドの知名度が上がってくれることは本当に嬉しいので、結果的にプロダクトはビジネスでもあるんですけど、僕の個人的な理想はまったく大袈裟なことはなく、すごく単純なことです。気の合う仲間と一緒にいれる時間とか、好きなバイクに乗れることとか。そういう時間が自分のマインドを支えてくれるんだと思いますし、そうじゃないと、どんどん自分がイヤな奴になりそうで (笑)

わかります(笑)。日本舞踊はやはり伝統という土台がある世界ですし、“型”というものがある。それは簡単に崩すことのできないしっかりとしたスタイルとも言えると思うんですけど、それを守りながらも、どこまでオリジナリティを追求できるのかという挑戦もされていますよね。そのオリジナリティを爆発させられるのが、プロダクトでもある。

たぶん僕も親父も、根本として見飽きたものや同じようなもの、という存在にあまり食指が動かないところがあるんだと思います。なんだか偉そうに言ってしまっていますけど、この感覚はただのひねくれだとも思います(笑)。本当に昔からそうで、みんなが選ぶものとは逆のものを選びにいこうとする。「理由は後から考えたらいいわ!」くらいの勢いで(笑)

こだわりが強いというのは、見方によってはそれ以外の価値観に対して排他的になってしまう人もいますけど、日本舞踊の<鵬扇流>も<Jungle & son’s>も、どちらもニッチな存在感でありながら、間口は広く開けているというのがいいですよね。

ファッションも古典芸能も、たぶん敷居を高くしようと思ったらできる…それこそ、ニッチで限定的なコミュニティにもできると思うんですけど、日本舞踊に関して言えば、次世代になるごとに伝統芸能の認知度はまだまだです。そのためには、いわゆるこちらの世界でのスタンダードであったコンフォートゾーンから出ていくことが重要な課題だと感じています。そのためにまず、これはどこの世界でも同じだと思いますが、まず基礎・土台をしっかりと自分のものにしたいですね。“伝統を守る”という自分の責任を重んじて稽古を続けていきたいと思っています。伝統と聞くと堅苦しい世界だと思われがちですけど、決してそんなことはありません。生活の中で気軽に楽しめるカルチャーとして体験してもらいたいですね。

今回、<Jungle & son’s>の仲間とそのたまり場と化しているガレージで撮影させてもらいましたけど、めちゃめちゃいい空間でした。街の空気感自体はすごくアットホームな感じなんだけど、あの場所だけすごくコージーにやさぐれてて(笑)

あの場所ではバイクをいじるだけじゃなく、ひたすら喋りながら朝まで過ごしたりしてましたよ。もともと農機具小屋だったから、冬とかめちゃくちゃ寒いですけど(笑)

バイクには乗っていないけど、また遊びに行きたいです!

来てください!僕の持ち物じゃないですけど(笑)。バイクに乗っていてもいなくても、今まで自分が出会ったことのない新しい風を入れてくれる人に来てもらえたら嬉しいですから。

新しい風で言えば、まさにこれから店舗を建設予定なんですよね?

そうなんです。これから具体的に進めていくところですが、来年のどこかでオープンできればと考えています。生まれ育った加古川でやりたかったというのが一番で、あとは、ちょっとコーヒーでも飲みながらゆっくり喋ったり買い物できる場所になれたらいいなと。僕がガキの頃に年上の先輩たちから教わったことや受けた影響を、仲間や次世代にも伝えて共有していけたら面白いですよね。散歩がてらにふらっと寄って もらったり、ツーリングついでに遊びに来てもらえたら。いまはショッピングもネット上で済ますことができる時代ですし、SNS上の表面的なカッコ良さがすべてかのような風潮がありますけど、やっぱり場所が放っている空気をちゃんと味わって、人と関わって、リアルな経験を大事にしていきたいと思っています。そういうコミュニティを自分で作ることによって、地元・加古川から盛り上げていきたいですね。

すごく楽しみです!そう言えば、お父様からは許可をいただいてますよ。衣装の着物のどこかに<Jungle & son’s>のロゴを入れてもいいって(笑)

親父はもう、何でもアリなんですよ(笑)。一番アナーキーな性格をしてますからね。でも、それいいアイデアですよね(笑)

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Profile

重岡大智 / 鵬扇小玄治

兵庫県加古川市出身。姫路を中心に活動する日本舞踊の家元<鵬扇流>の3代目であり、ファッションブランド<Jungle &son's>のディレクター。10代の頃に出会ったバイクをきっかけに、バイカーズカルチャーやファッションプロダクトで様々な発信を続けている。来年には、加古川でオリジナルアイテムを中心としたコミュニティショップがオープン予定。

Profile

鵬扇流

主に姫路、播州地方を拠点に活動する日本舞踊。古典舞踊の「日本舞踊鵬扇流」と新舞踊民舞踊の「鵬扇流 新舞踊 なないろの会」を主催し、毎年 4月には「鵬扇 流新舞踊 なないろの会」を開催。入場無料で、古典に親しみがある人も初心者にも楽しめる公演内容が魅力。

https://housenryu.com/

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