ファサードには枯山水!メイドインジャパンのモノづくりを愛する『DENCHU』田中宏章さんが魅了される、モノと人、そしてそこにある物語。


良いなと思える見た目をしていて、さらに深掘りしてストーリーが魅力的だったり、プロダクトとして面白ければ、なお良しです。

どのアイテムもすごくこだわって選んでらっしゃるなっていうのを感じるんですけど、田中さんがセレクトするときの基準みたいなものってなんですか?

いろんなパターンがあるんですけど、<AJI PROJECT>みたいにお店で見ていいなと思って調べることもありますし、クラフトフェアみたいな作家さんが集まるイベントに行くこともあります。あと、インスタで気になったものを買ってみて、良かったらその作家さんにお声かけするパターンとか。

全国いろいろなところのものがあるので、どうやってセレクトされてるのかなと思ってました。

それよく言われるんですけど、今はだいたいインスタグラムとかホームページがあるので、ネットですぐ連絡が取れるからむちゃくちゃスムーズなんですよ。個人の人もインスタにDM送れるので、そんなにハードルが高くないんです。

なるほど。それはお互いさまで、作家さん側からしても、『DENCHU』のインスタを見れば、どんなお店かなんとなくわかりますもんね。

そうですそうです。そんな感じで。だからさっきの<AJI PROJECT>は、インスタのページもない、物件も決まってない、もう気持ちだけでいったのに「いいっすよ」って言ってくれたのは、やっぱりすごく印象に残ってますね。逆の立場からしたら絶対怪しいやんって思いますもんね(笑)

取引していいか、判断に迷いますよね(笑)。お店を始められた当初から、これくらいのラインナップを揃えておられたんですか?

いや、初めはもうちょっと少なかったですね。作家さんも、お声かけしても半年1年後まで入荷待ちっていうのもあったので。あとは、「こういうの合うと思いますよ」って紹介されて扱うパターンもありますね。

ここにあるのはそういう変遷を経て選ばれたものたちなんですね。田中さんがものを見て惹かれる部分ってどんなところですか?

まず大事にしてるのは、マジで見た目なんですよ。

見た目から。

はい、見た目から入ります。見た目が良いと思わないと、その背景にあるストーリーがどれほど深くても、まず選ばなくて。良いなと思える見た目をしていて、さらに深掘りしてストーリーが魅力的だったり、プロダクトとして面白ければ、なお良しです。

お好きなものの傾向とかってあるんですか?

どちらかというと洗練されてるものが好きで、その背景にストーリーがあればさらに良いっていう感じなんですけど。例えば、枯山水の石の上に乗せている木工の花器。木工ってわりとナチュラルなものが多いので、正直あんまり好きじゃないんです。でもこの<雲潤 (ウルミ)>さんの作品はすごくシックなんですよ。しかも、兵庫県の神社の神主をしながら木工をされている方で。

現役の神主で、木工作家でもあると。

あの花器の素材は、神社に自生している木なんですよ。木を間伐しないといけない時に切って、その木で作るっていう。製材用の木じゃないので、結構歪んだりしてるんですね。だから、わざと半乾きの状態で製品にして、ひび割れや色の経年変化があえて起こるようにしているんです。見た目のかっこよさから入って、そういう話を聞いてさらに良いなと思って。

兵庫県加東市に工房を構える<雲潤>のプロダクト。「できたものだけでなく、どういう想いで作っているのかを知りたいので、作家さんには基本会いに行きます」。

たしかに木工なのに全然ほっこりしてないし、ストーリーも魅力的ですね。

神社の神主さんですし、パワーとか御利益とかもありそうじゃないですか。わかんないですけど(笑)

飲食スペースもありますが、それも初めからやろうと決めてたんですか?

いや、飲食は別に考えてなかったんです。でも、普通に物販やっててもおもんないなと思って。もっと気軽にお店に来てもらいたいなっていうのもあって、「ほな飲食くっつけたらええやん」っていう単純な発想です。

コーヒーは一杯ずつハンドドリップで、宇治抹茶を使用したラテは自ら茶筅で抹茶を点てるところから。

そうなんですね。でも、飲食をやるってすごく大変じゃないかなって思ったんですけど。

最初に自分の好きなコーヒーをやって、それからお酒も好きなので、お酒もやろうと思ったんですよ。日本一周の時に日本のワインも美味しいなって思ってたんで、日本のワインええなって。大変ですけどね、面白いです。

日本のワインって、こんなにいっぱい種類あるんだなと思って。扱うワインはどうやって決められるんですか?

正直ワイナリーは行ける範囲、関西方面くらいしか行けてなくて。でもワインショップのFUJIMARUさん経由で色々飲ませてもらって決めてます。ワインも、ものをセレクトするときと同じで、第一段階はエチケットで決めるんですよ。ワインもまず見た目です。

お店の数を増やしたいとかは思ってなくて、メイドインジャパンのお店をやる上で、いろんな作り手さんやお客さんと、つながりができたらいいなっていうのはありますね。
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Profile

田中 宏章

神戸市出身。岡山県の児島に本社を構えるアパレルメーカーに約16年勤務した後、「made in Japanがある暮らし」をコンセプトにしたライフスタイルショップ『DENCHU』を大阪・北堀江にオープン。カトラリーやグラスなどのテーブルウエアのほか、インテリア、日用品、食品など、自らがセレクトしたアイテムを取り扱う。コーヒーや国産ワインが楽しめるカフェも併設。

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