“伝説のハガキ職人”による自伝小説『笑いのカイブツ』が映画化!ツチヤタカユキさんが「笑い」にぶつけた狂おしいのほどの情熱を、滝本憲吾監督はどうスクリーンに描くのか。
笑いに魅せられ、笑いに取りつかれ、笑いに全てを捧げた男・ツチヤタカユキさんの壮絶な半生を描いた映画『笑いのカイブツ』。ツチヤさん自身が執筆した同名小説が、名だたる巨匠のもとで助監督を務めた滝本憲吾監督によって映画化されました。主人公ツチヤを演じるのは、注目の若手俳優・岡山天音さん。ラジオや大喜利番組へネタを投稿し続け、“伝説のハガキ職人”と呼ばれるほど笑いにのめり込んだツチヤの姿を鮮烈に演じます。今回は1月5日(金)の公開を控え、原作のツチヤタカユキさんと、本作が長編商業映画デビュー作となる滝本憲吾監督にインタビュー!ツチヤさんが笑いにぶつけた狂おしいのほどの情熱を、滝本監督はどうスクリーンに描くのか。作品への想いや見どころなど、お話を伺いました!
誰が監督だろうが面白ければいい。監督がブランドになることもありますけど、そうじゃなくて、ちゃんと中身で勝負したいと思ってるので。(滝本監督)
ツチヤさんの自伝小説『笑いのカイブツ』は、どのような経緯で映画化に至ったのでしょうか?
滝本:もともとこの映画のエグゼクティブプロデューサーの成宏基(そん かんぎ)さんと僕は、別の映画の企画を進めてたんですけど、それがなかなかの大作で苦戦してまして。そんな時に成さんが、「ツチヤタカユキさんの『笑いのカイブツ』という本が、ふだん滝本さんが話してる事とすごくリンクするから、まずはこれをやりませんか?」って僕のところに話を持ってきたという次第です。
滝本監督は原作に目を通されて、どんな感想を持たれました?
滝本:面白い人間がいるな、面白い熱さがあるなと思って。それを面白いと取ってしまったんで、素直に映画的だなと思ったというか。
エグゼクティブプロデューサーさんはツチヤさんの原作と滝本監督とは、リンクするところがあると仰ったんですよね?
滝本:僕は映画の助監督をやってきたんですけど、何よりもとにかく面白さっていう思考をしてたんです。寝なくてもなんでも、面白ければいいと思ってたんで。そういうところが似ているというか、ふだん僕が言っていることが小説とリンクしていたので、そう感じたんだと思います。
ツチヤさんは自伝が映画化されるとお聞きになった時、どう思われましたか?
ツチヤ:その話を聞いたときに小説の編集者もその場にいて、「こういう企画は立ち上がるけども、なかなか実現しないよ」みたいなことを言われたので、じゃあ期待しないでおこうって思いました。だから、滝本監督が長編デビュー作として、この作品を選んでくださったのはすごく嬉しかったですね。光栄でした。
今ツチヤさんがおっしゃったように、滝本監督は本作が長編商業映画デビューということですが、どんなお気持ちでこの作品に臨まれましたか?
滝本:責任が増えるだけで、やることは普段と一緒なので、意識的にはそんなに変わらないです。助監督で付いてるときも、この監督より作品のこと考えてるしと思いながらやってましたから。もちろん責任はついてきますし、やることも増えますけど、だからといって背負っても仕方ないので。面白いものをちゃんと作ろうっていう、その気持ちだけ背負いながらやりました。
長編デビュー作だからという気負いはありませんでしたか?
滝本:いい気負いは持ってましたけど、あんまり意味ないじゃないですか、誰が監督だろうが面白ければいいので。監督がブランドになることもありますけど、そうじゃなくてちゃんと中身で勝負したいと思っているので。
作品に対しての向き合い方も、監督だから特に意識した部分はなく?
滝本:もちろん、ダイレクトにはきますけどね、主演の(岡山)天音くんとのやりとりだったり。いちばん上になると僕の見ている下で動いてもらうから、目を行き届かせるっていうのが大変でした。でもそれも、自分の「面白い」に近づけていく行為ですから。
今日から監督やー!みたいな感じは?
滝本:まったく無いです。愚問ですね(笑)。もう現場に入ったら、バミリでもスタンドインでもなんでもします。
滝本 憲吾
1979年5月3日生まれ、大阪府出身。『ゲロッパ !』(03)で初めて劇映画の監督アシスタントとして参加。以後、上京しフリーの助監督として多くの作品に携わる。2007年ドキュメンタリー『サディスティック・ミカ・バンド』(監修: 井筒和幸)で監督デビュー。監督としてCMやPV、テレビドラマを多数制作しており、現在は2024年配信予定のアクションドラマを撮影中。
ツチヤタカユキ
1988年3月20日生まれ、大阪府出身。高校時代からテレビやラジオ番組にネタを投稿。圧倒的な採用回数を誇り、“伝説のハガキ職人”と呼ばれるようになる。芸人による招聘で上京し、ラジオの構成作家を志すも、“人間関係不得意”のため挫折。帰阪後、自伝小説『笑いのカイブツ』を出版。近年は小説の執筆や新作落語の創作、吉本新喜劇の作家としても活動。