好きが交差する、自由で楽しいアロマデザイン。調香師・西村道子さんが提案する、日常をドラマティックに彩る香りのある暮らし。


食と同じようにカジュアルな感覚で香りを楽しんでほしい。今後は廃棄する植物を使ったお香づくりにチャレンジしたいです。

人工香料と天然香料、それぞれどんな風に使い分けているんですか?

片方だけって決めている方もいらっしゃいますが、私はそれぞれ異なる良さがあると思っているので、シーンや用途に合わせてどちらも使用しています。人工香料はより空想の世界観が強くて、イメージしたものがそのまま再現できるんです。だから世界観を繊細に表現したい場合は、人工香料をたくさん使います。それに対して天然香料は、植物自体のエネルギーを感じられるところが魅力。同じ植物であっても産地や採れた年、気候によって香りが違っていて、少しワインに似ているかも。以前と香りが違うことを否定するんじゃなく、変化を受け入れるのも楽しみ方の一つです。天然香料は効果・効能も得られるから、肌や身体にどんな影響を与えたいか考えながら調合できるのもポイント。食べ物みたいな感覚でブレンドできるんですよ。

身体に直接的に作用する場合があるって思うと、食と香りってすごく近いのかもしれませんね。

私はごはんを食べる時、香りも一緒に堪能するんです。例えばお蕎麦を食べる時は、まずダシの香りを吸い込んで、次にネギや七味を入れて香りがどんな風に変化するか楽しむ。香りって目に見えないものだけど、日常に溢れているとっても身近なものなんです。

道子さんは食べたり飲んだりするのがお好きなんですよね。

大好きな食事やお酒と香りが結び付くのが一番楽しいしおもしろいです。同業者はわりとストイックな人が多くて、みんなあんまりお酒を飲まないし、肉や魚を食べないヴィーガンの人もたくさんいる。この道を突き詰めるとそうなっていくんですが、私は揚げたてのフライドポテトの香りにたまらなく惹かれてしまうし、食べるのも飲むのも大好きだからそんな風にはなれなかった。だったら自分の道を見つけようって考えて。カレーとか麻婆豆腐ってスパイスやハーブをいっぱい使っているし、だったら食と香りって地続きじゃんと。食と同じくらい、香りを気軽に楽しんでほしいと思っています。

女の子はメイクで雰囲気が結構変わるけど、香りで印象チェンジをするのもおすすめです。私はその日のファッションや訪れる場所、朝と夜でも香りを使い分けていて、どうしようかなって考える時間もワクワクします。

なんだか楽しそう。私もやってみようかな。

香水って手首や首まわりに付ける人も多いですが、インナーや足首に付けるのもおすすめです。手首に付けると最初は香りが強いけど、手を洗うとすぐに取れちゃうから、私は服を着る前インナーにひと拭きしています、お腹まわりや足首は長時間香りが残ってくれるんですよ。香りが強いのが苦手な方は、空間に吹きかけて浴びるのも良いと思います。

今後やってみたいこと、つくってみたいものはありますか?

直近だと、香りのワークショップをいろんな人やお店とコラボレーションしてやりたいです。最近はコーヒー屋さんでやらせていただいて、コーヒーを抽出後の粉を植物と一緒に蒸留器に加えて香りをつくりました。お茶屋さんでも同じようなことができると思うので、やってみたいと思っています。

あとは蒸留後に残った植物からお香をつくりたくて。自宅だと排水ネットに入れてお風呂に浮かべてるんですが、細かくして丸めたらお香になるんじゃないかなと思っていて。まだきちんと調べられてないですが、それができれば全部無駄なく使い切れるなって。香りと何を掛け合わせたらおもしろいのか自分なりに考えて、いろいろ挑戦していきたいです。


撮影協力:INTA-NET KYOTO


<西村道子さんのお気に入りのお店>

自家製麺 天狗(京都市上京区河原町)
子供の頃から大好きなおうどん屋さん。どれもおいしいけど今みたいに寒い日は粕汁で煮込んだ「霜降りささ麺」にたっぷり七味をかけて食べるのが至福。

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Profile

西村 道子

京都府出身。地元・京都を拠点に活動する調香師/アロマブレンドデザイナー。コスメブランドでの勤務、飲食店の開業を経て調香の道へ。現在はコスメや空間の香りをデザインしながら、さまざまな場所で香りのワークショップを開催。食べたり飲んだりするのが好きで、街の酒場にもよく出没。

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