大阪のインディーズお笑いライブが観てみたい!大阪・ミナミで『舞台袖』&『楽屋A』を営む加藤進之介さんにその実態を聞きました。


僕らの課題は、若手と学生芸人の強化と、吉本以外の芸人さんを人気者にすること。今後は、関西の学生お笑いシーンをもっと盛り上げたいです。

お笑いのライブハウスを運営していて、どんなところにやりがいを感じますか?

舞台にたくさん出てくれた人たちが結果を残してくれることですかね。最近だと東京で大学生のお笑いグランプリをやっていて、去年より関西勢の成績が優秀だったのでライブに出てもらって良かったと思いました。

その方たちも大阪に残って芸人を続けるとは限らないですが、その辺りも承知のうえでということでしょうか?

矛盾かもしれないけど、ゆくゆく東京に行っちゃうのは全然いいんです。東京だと大学4年間ゴリゴリにお笑いをやってからNSCに入るエリートも多くて、大阪はNSCに入った年が実質お笑い1年目の人が多い。これまではそこに4年の格差があったんですけど、今は学生芸人が増えたので関西勢も盛り返していけるんじゃないかなと。卒業後は吉本や松竹の養成所に入ってもいいし、フリーで活動してもいい。結果、“大阪っておもしろい”に繋がれば全然いいやって思います。

『舞台袖』はこんな感じ。『楽屋A』より少しこぢんまりしたハコで、入ってすぐにバーカウンターを設置しています。

加藤さんはもう1度お笑いに挑戦したいと感じる瞬間はないんですか?

いや、ないっすないっす(即答)。内情を知れば知るほどやろうとは思えないです。テレビで芸人さんを観て、「これやったら俺の方がおもろいんちゃうん」とか思うかもやけど、人を笑わせて、なおかつ売れることがどれだけ難しいか。こんな大変なことようやらんわっていつも思います(笑)

加藤さんが今注目されてる芸人さんをお聞きしたいです。

『楽屋A』の選抜メンバーだと、さっきも話に挙がったボニーボニーさん。もともと吉本出身でフリーになった2人です。たまに東京で遠征ライブをするんですが、そこでもウケることが多くて、バトルライブでの勝率もかなり高いんですよ。ytv漫才新人賞の選考会にも出場できて、売れる可能性を感じさせてくださる方々です。あとは、松竹芸能に所属しているオーパスツーさん、風穴あけるズさん。芸歴4年目の骨付きバナナさんも注目しています。涼風さんっていう男女コンビもおもしろいですよ。マイナビラフターナイトという若手芸人を発掘する番組があって、先日初めて大阪で開催されたんですが、吉本の劇場メンバーもたくさんいる中でその回のトップになったんです。しばらく休業されていましたが、少し前に復活してこれからたくさんライブをしてくれる予定です。ぜひ観に来てほしいですね。

店内には、飲みに来てくれた芸人さんのサインがずらり。眺めているだけで楽しい気分になれます。

今後挑戦したいこと、やってみたいことはありますか?

関西の学生芸人の強化です。劇場メンバーになるための「口火」という定期ライブがあって、今はベテラン芸人、若手芸人、社会人、学生がごちゃ混ぜになってやっているんです。最初はそれくらいしないと人が集まらなかったけど、学生芸人の人口がすごく増えたので、学生だけでピラミッドを作れたらいいなと思っています。東京の学生ライブって各事務所の社員が観に来ていて、高校野球みたいな感じで、おもしろいコンビに名刺を渡してスカウトしてるものもあるみたいんなんです。楽しくやってるだけやのに序列が付くのはしんどい、って思う人もいるかもやから考えどころですけど……。元学生芸人が東京でめっちゃ結果を出していて、真空ジェシカさん、ママタルトさん、ストレッチーズさん、令和ロマンさんや他にもたくさん……。関西でもおもしろい学生芸人はこの人ですって可視化して、その人たちが賞レースで結果を出したり事務所にスカウトされたりすることで、関西学生芸人のエースが売れていくという道を作れば、その界隈も盛り上がってくれるんじゃないかなと思っています。

これまで表立ってやる人が少なかったからこそ、伸び盛りでもあるんですね。

学生と一緒にライブをたくさんやって、ようやく結果が出てきたところなので、もう1個ギアを上げていきたいです。学生ってみんな熱いんですよ。関東勢に負けて本気で悔しがっていて、その姿を見てると応援したくなるというか。僕なんかがやるのはおせっかいかもですが、M-1の審査員を呼んでアドバイスもらうとか、自分にできることはあるかなって常に考えてて。東京の大会とかもついて行って、一緒に泣きたいなと思っています。

中学時代にいた熱い先生みたいですね。

僕は野球部やったんですけど甲子園とかもめっちゃ好きで、若い子ががんばってるだけで泣けてくるんです。もはや、青春のおこぼれをもらっているただのおじさんですね(笑)。僕らの今の課題は、若手と学生芸人の強化と、吉本の劇場に立てない芸人、自由にライブが打てる層の芸人さんを人気者にすること。プロの芸人さんは来年、再来年でめっちゃ上京する流れになるんじゃないかと思うんです。もちろん仕方ない部分はあるけど、お笑いの本場とされる大阪がそうなってしまうのは寂しい。インディーズライブをメジャーにして、大阪のお笑いの土壌をもっと揺るぎないものにできたらいいなと思っています。

エメマンのジャージをディスプレイ。「ダウンタウンの松本さんが着てたので何となく飾ってみました」とのこと。
舞台上でサンパチマイクがせり上がってくる様子をイメージして、四角い部分からお酒のグラスが上がってくる仕掛けを考案。

<加藤さんのお気に入りスポット>

ライヴ喫茶 亀(大阪市中央区玉造)
ヤングさんというお笑い芸人が運営されているライヴ喫茶。もう8年ほど続けられていて、尊敬すべき先輩です。

紅鶴(大阪市中央区千日前)
味園ビル内にあるライブシアター。お笑い以外にもトークライブや上映会などを行っていて、バーとしても営業しています。

梅田Lateral(大阪市北区堂山町)
ロフト時代にお世話になった先輩が運営している配信に強いサブカルトークライブハウス。年齢も僕の1個上かつ同じタイミングで始めたという共通点があって、一緒にがんばりたいと思っています。

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Profile

加藤 進之介

1992年生まれ、大阪府出身。大学4回生の時に37期生としてNSC大阪校に入り、一度は芸人を志すも一般企業に就職。3年ほど働いたのち、アルバイトで芸人の人脈と企画・運営のノウハウを身につけて2019年に『舞台袖』をスタート。22年にはライブに特化した『楽屋A』をスタートし、日々たくさんのインディーズライブを行なっている。

Shop Data

楽屋A

住所: 大阪市西区新町1-6-23 四ツ橋大川ビル B1F
電話: 080-6176-0467
営業時間: 公演に準ずる
休日: 不定休

Youtube:@gakuya_a
ライブ予約:https://tiget.net/users/441684

Shop Data

舞台袖

住所: 大阪市中央区西心斎橋2-14-16 D.T.2ビル 3F
電話: 080-6176-0467
営業時間: 公演に準ずる
休日: 不定休

Youtube:@gakuya_a
ライブ予約:https://tiget.net/users/1011091

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