4人のローカルスケーターが動き、長居公園に誕生させたスケートボードパーク。その裏側にあるいろんなストーリーと、パークに込めまくった想いとは。
長居公園で僕らは散々やってきたけど、次の世代に何も残せないまま滑れなくなるのを見てるのがツラかった。酒を飲んだ勢いで、大阪市に問い合わせをしてしまって…。
皆さんの関係性や長居公園がスケーターから選ばれる理由も分かったので、では本題に!今回、長居公園にスケートボードパークが誕生しましたが、そもそもこのプロジェクトがスタートするキッカケは何かあったんですか?
武田:実は東京に単身赴任してて、大阪に戻って来て久しぶりに長居公園に行ったらめちゃくちゃ警備が厳しくなってたんです。コロナ禍やスケーターが急増したってのもあるけど、行っても滑れない状態でした。
山下:コロナ禍でみんな行くあてもなかったし、若い子もめちゃ増えてたんですよ。ある夜、何か違和感あるなと思ってたら一部の街灯が消えてて、また別の日に行ったら今度は街灯が全部消えてた。ライト買って滑らないといけないような感じだったんです。
石川:それから警備員が車の中で待機するようになって、スケーターを見つけたら「スケボー禁止ですよ」って言ってるし、ちょっと休止してから滑り始めて、また注意を繰り返しされるような感じになっていましたね。
山下:でも、ほんとに誰も滑れなくなってきたんです。
丸居:滑ってる場所をイベント用の柵で囲まれたりもしてたし。
石川:スケーターが帰るまで警備員も常駐するようになり、挙げ句の果てにはスケボー持って歩いてるだけでも「スケボー禁止!」って言われてましたから。
武田:警察も巡回するようになっていよいよ本格的に規制も始まり、みんなどんどん違うスポットに行くようになったんです。長居公園には思い入れがあるし、いい青春時代を過ごさせてもらい、いろんな人とも出会えた。この場所がなくなると、これからスケートボードを始める子にとっては出会いのチャンスが1つ消えることにもなる。僕らは散々やってきたけど、結局次の世代に何も残せないまま滑れなくなるのを見てるのはツラかったんです。そんな話を先輩と酒を飲んでしてる時、勢い余ってしまって…(笑)
丸居:それがファインプレーやで(笑)
武田:我慢できずに、「僕が大阪市に連絡しますわ!」と言って、問い合わせフォームに想いを書き込んだんです!
何て書いたんですか?
武田:警備員や警察も巡回してるけど、長居公園ではまだまだ滑ってる子がいる。このままだとイタチごっこが続くから、何とか提案させてほしいですって。でも、酔い任せやったし、どうなるかなと思ってましたが、「話を聞きたい」とすぐに連絡が返ってきたんです。まさかの展開に「えー!!!」って、ビックリしましたね(笑)
確かにファインプレーですね(笑)
丸居:長居公園側はあふれるスケーターに悩んでて、オリンピックの競技種目に決まる前からイタチごっこが続いてた状態。どうにか整備できないかという話を大阪市に上申してたんですが、有識者もいない。それならスケートボードに詳しい人を紹介してほしいと伝えてたらしいんです。
武田:そんな時に、僕が酔っ払って問い合わせをしたと(笑)
丸居:大阪市としても、ちょうど求めてた人材(笑)。それで武田君と『わくわくパーククリエイト』さんをマッチングしていただいたんです。
それはいつくらいの話だったんですか?
武田:2年半くらい前ですかね。我ながらグッドタイミングでした。それで大阪市側から長居公園の指定管理事業者である『わくわくパーククリエイト』さんを紹介してもらったんです。いろいろ話し合う中で、スケートボードがオリンピックの競技種目になる可能性があったり、今後さらに競技人口が増えるかもしれないということもあり、大阪市の公園指定管理整備事業としてスケートボードパークの建設がスタートしました。
トントン拍子すぎませんか?まさか、まさかの展開ですよね。
武田:マジでビックリでしたね。でも、ちょうど2021年2月頃に中之島公園のスケートスポットがニュースに取り沙汰されて、大きな問題になったんです。その影響もあり、大阪市としては対応に追われていたんです。
まさかの展開から、さらにまさかの展開に…。
武田:大阪市としては民間企業のノウハウを活用して対応を検討されているようでしたが、どうなるかと思ってたところに、長居公園の指定管理事業者である『わくわくパーククリエイト』さんの神原社長が、「じゃ、うちが全額出すわ!」と言っていただけて(涙)。神原社長の男気に、僕らはめちゃくちゃ感動したんですよ。
丸居:ここは税金で作られた公共のスケートボードパークだと認識してる人が大半だと思いますが、費用は行政じゃなくて『わくわくパーククリエイト』さん。ほんと神原社長の男気で完成したパークなんですよ。だから、僕らはもう足向けて寝れません。
ローカルスケーターを代表する皆さんの想いが神原社長にも届いたんでしょうね。「何とかしたろ!」みたいな感じで。
山下:とにかく僕らの意見をすごく真摯に聞いてくれました。いろんな企業から話があったみたいですが、あくまでも一般のスケーターを第一に考えてくれていて、そこは僕らと同じ考えだったのでほんとありがたかった。でも、最初の計画では今の広さの1/3しかなかったんです。
石川:それでは狭すぎるし、スケーターの抑制にもならず結局はあふれてしまう。そんな話を伝えながらいろいろ提案してたら、いきなり3倍の広さになったんですよ(笑)
山下:丸居君もさっき言ってましたけど、スケーターが長居公園に来るのは、広さと路面の良さ。それを理解していただけて、悩むことなく「じゃ、広くしよか!」と。
武田:いきなり園内の図面が出てきて、「この場所はどうや!?」みたいな感じでしたね。
話を聞いてるだけで、神原社長のファンになりそうです。
丸居:『わくわくパーククリエイト』さんとの話が始まった後は、さらにトントン拍子やったんですよ。僕らはスケーターだけど、プロでもアスリートでもないし、言わば末端の層。そんなスケーターがあふれてる現状に対して「あなたたちはどんなパークがあれば満足できるの?」と向き合っていただき、僕らのリアルな意見をしっかりと受け入れてくれた。もうね、すごいとしか言いようがなかったですね。正直、ここまでスケーターの意見を取り入れてくれるスタンスで、プロジェクトに関わらせてもらえるパークはないと思います。
武田:他のエリアでも行政と掛け合ってパークを作ろうとしてる人はたくさんいますけど、行政相手だからなかなか進まなかったり、止まってるという話もよく聞きますし。
丸居:普通は僕らの意見に対して守りから入るというか、リスクヘッジをすぐに考えるけど、『わくわくパーククリエイト』さんに関しては、「もっと意見して!教えてほしい!」というスタンス。そして、実現に向けて一緒に走ってくれる。ほんと、スケーターにとって理想のパークができたと思いますね。
タイガーラックスケートボードパーク長居 運営クルー
昔から長居公園で滑っていたローカルスケーターの武田知定、丸居賢次、石川大哲、山下真也で形成されるパーク運営クルー。長居公園にスケートボードパークを誕生させた立役者たちであり、オタク領域のこだわりと深すぎるスケートボード愛で、指定管理事業者の『わくわくパーククリエイト』とともにスケーター想いの最高のパークを作り上げた。
Instagram
武田知定:@tomosada_t
丸居賢次:@maru_411
石川大哲:@hiroaki666
山下真也:@shinkinpark_0519
タイガーラックスケートボードパーク長居
大阪府大阪市東住吉区長居公園1-1
営業時間: 24時間(4月23日〜5月8日までは9:00〜21:00)
※本登録は9:00〜18:00
利用料: 年間登録料500円
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