甘いマスクの格闘家・有井渚海くんの甘くない顔。超絶イケメン×8戦無敗のプロキックボクサーの素顔に迫る!
大阪此花に、8戦無敗のプロキックボクサーがいる。しかも若者に大人気のAbemaTVの恋愛リアリティーショー『恋ステ(恋する週末ホームステイ)』に出るくらいのイケメン。名前は有井渚海(ありい・しょあ)というらしい。
そんな話を聞いたMARZELライター鈴木は、なんとなくYouTubeで“有井渚海”と検索してみた。いくつか試合の動画が観られる。最初の彼の印象は、正直「可愛い」だった。ところがゴングがなった途端、その印象はガラリと変わった。
なにせ、殺気がすごい。ビビりの筆者はあやうく泣いてしまうかと思った。と同時に「こんなに甘いマスクなのに、こんなに殺気ムンムンなんて、なんか面白い!」とも思った。早速アポイントをとり、渚海くんが試合中考えていることや、格闘技への想いについて話を聞くことに。もうじき20歳になる少年の目は、静かに熱く世界を見据えていた。
「最初は空手が何かも知りませんでした」格闘技を始めた理由、プロを目指した理由。
渚海くんは最初、どうして格闘技を始めたんですか?
僕は小さい頃よく女の子に間違えられていたんです。それで親が心配したのか、「空手を習え」と言われて、今も所属している及川道場に入門してグローブ空手(※)を始めました。小学校1年生の時なので、13〜14年前になります。
※ボクシンググローブを着用し、立ち技(突き・蹴り)を中心に戦う競技空手。事実上のアマチュアキックボクシングとされている。
自分からやりたくて入ったわけではなかったんですね。
そうですね。小学校1年生なので、最初は空手が何なのかも知りませんでした(笑)。でも小学校3年生くらいから試合に出るようになって、そこで勝つとやっぱり楽しくて。気づいたらハマっていました。
でもプロになるって、相当なハマりようですよね。いつ頃からプロを意識するようになったんですか?
中学生くらいです。だんだん試合に負けなくなってきて、「もうアマチュアやったら負けないな」という自信がついて。だから「プロの舞台だったらどうなんかな」って腕試しをしてみたくなったんです。
「プロになりたい」が「プロになろう」に変わったのはいつですか?
グローブ空手の全国大会『第30回全日本新空手道選手権大会 K-2GRAND PRIX 2019』の軽軽量級で優勝したときです。
優勝したらプロになろうと決めていた?
プロになろうかな、と思っていましたが、実際の決め手は“キックの神童”と言われている那須川天心選手に「一緒にRISEを盛り上げていこう」と彼が参加するキックボクシング団体に誘われたことです。
どうしてそんなことになったんですか?
決勝の相手が、天心選手のお父さんが運営するTEPPEN GYMの選手だったんです。僕とファイティングスタイルが似ている相手だったのでかなり戦いにくかったんですが、なんとか勝つことができて。その試合の後に天心選手が僕のところまで来て、誘ってくださったんです。
天心選手レベルの人に誘われたら、そりゃもう決まりですね。
ですね(笑)。
「入場曲が聞こえれば、それまでの恐怖は消えてなくなります」
プロのキックボクサーになるために、何かライセンスなどは必要なんですか?
いえ、キックボクシングの世界にはライセンスはありません。言ってしまえば、プロになろうと思えば誰でもなれます。勝とうと思うと実力が必要になりますけど。
そんな中で渚海くんは8戦7勝0敗1分3KOという戦績を誇っているわけですが、印象に残っている試合はありますか?
デビュー戦はヤバかったですね。高校3年の終わり頃で18歳の時だったんですけど、緊張でガチガチに力んでました(笑)。
それはやっぱり初めてのプロの舞台だったからですか?
いろんなことが重なったんです。大会自体も天心選手も出るような大きな大会で、会場もエディオンアリーナ大阪。しかもちょうど『恋ステ』が終わってすぐのタイミングで、一番いろんな人が試合を見てくれていたんです。試合前はずっと「この試合、負けたらどうなっちゃうんやろ」って思ってました。
結果は……?
なんとか勝てましたが、終始体に力が入りっぱなしで、思うような試合にはなりませんでした。頭で考えるとどうしても力むので、最後は技術とか全部捨てて気持ちだけで戦いましたね。
力むとダメなんですか?
ダメです。力むと動きがゆっくりになってしまって、相手に動きを読まれてしまうので。リラックスして、常に冷静な頭でいないと倒すことはできません。
素人からすると、リングの上でリラックスしているというのが信じられません(笑)。
(笑)。カーッと頭に血が上った状態で突っ込んで行ったら、それは喧嘩と一緒になってしまいますからね。プロの人はみんな冷静に戦っていると思いますよ。
怖くないんですか?
怖いですよ、試合前は。
それはどんな恐怖ですか?
一番は「負けたらどうしよう」という恐怖ですね。応援してくれている人もいれば、そうでない人もいるわけですけど、その人たちが僕が負けたあとどんな顔をするのかと思うとめちゃくちゃ怖い。あとは相手への恐怖も、もちろんあります。
その恐怖とはどうやって向き合っているんですか?
入場曲が聞こえればスイッチが切り替わって、それまでの恐怖は消えてなくなります。そこからは怖いというより「やるぞ」というモードになりますね。
だからあんなに殺気ムンムンになってるんだ……。プロフィール写真や、こうやって普通に話している時の顔が優しい感じなので、試合の動画観た時にチビっちゃうかと思いました(笑)。
よく言われます(笑)。
入場曲は何という曲を使っているんですか?
今はThe Scriptというバンドの『Hall of Fame』という曲を使わせてもらっています。
どうしてその曲にしているんですか?
歌詞が好きなんです。歌詞の半分くらいが「お前には○○だってできるんだ!」という内容で、中には「You can beat the world(お前は世界に打ち勝つことができる)」とか「Be a champion(王者になれ)」と繰り返すところもあって、試合前の心境にぴったりだなと思ってこの曲にしています。
「格闘技好きの人は目や足を見ています」観戦がもっと面白くなる“注目ポイント”とは。
渚海くんの影響で格闘技を観戦するようになった人も多いと思うんですが、格闘技観戦ビギナーが試合をより楽しむための注目ポイントみたいなものってありますか?
KOシーンを観て楽しんでもらうだけでも十分だとは思うんですけど、選手や格闘技好きの人は目や足を見ていますね。
どういうことですか?
目や足を観察すると、選手の技術力がわかるからです。一つのKOにしても、ラッキーパンチって少ないんです。目や足、体の重心を使ったフェイント、相手の苦手な攻撃……そういう技術をコツコツ積み重ねていくことでKOにつながっていくんですよ。
KOじゃないところにも格闘技の面白さが詰まってるんですね!例えばどんな技術があるんでしょうか?
目だったら、下に目線を送ってローキックやボディを狙っていると見せかけて顔を狙うとか。足だったら、パンチを打ったあとその場にいると相手のパンチが飛んでくるので、打った瞬間に移動したりとか。他にも相手のリズムを崩すために、あえてどっしりと構えて動かない、なんてこともやります。
確かに試合の動画を見ても、相手選手が軽快なステップを踏んでいても、渚海くんはどっしり構えて狙いすましていましたよね。あれがまた「おら、来いよ」って感じで怖かったんだよなあ……。
試合中の選手はそうやって細かいやりとりをしながら、ペースの奪い合いを繰り返しています。それがわかるようになれば、格闘技観戦はもっとずっと面白くなると思いますよ。
難しそう……。
(笑)。最初は「このラウンドは目だけ観察しよう」とか「足だけ観察しよう」とか、どこに注目するかを決めるのもいいかもしれません。全体で見ちゃうと何が起きてるかわかりにくいと思うので。
「6月の試合は僕にとって一番大事な試合」渚海くんが見据える“世界”の舞台。
渚海くんの今後の目標について教えてください。
一番大きな目標は、今参加しているONE Championship(※)という団体の大会で、世界チャンピオンになることです。でもそれはまだまだ先の話。だから当面の目標は国内の大会でトップになって、それからONE Championshipの本戦に出ることですね。
※アジア最大の世界的なスポーツメディア・プロパティ。550人以上の選手が登録しており、そのうち140人以上が様々な格闘技の世界チャンピオン。
どうすれば本戦に出ることができるんですか?
ONE Warrior Seriesという登竜門的な大会で実績を積むと、本戦にマッチメイクされるというイメージです。
直近で試合の予定はありますか?
はい。6月にONE Championshipと日本の総合格闘技団体「修斗」が共同で開催するトーナメント大会があって、そこに出場する予定です。ここで優勝すれば一気に本戦への切符が手に入るかもしれないので、今の僕にとって一番大事な試合ですね。
じゃあ今は、その準備期間なんですね。
そうですね。コロナの影響で大学にも行けないので、毎日走ってるか練習してるか、体のメンテナンスをしているかで、基本的にずっと格闘技のことを考えています。
その大会の詳細を知るにはどうしたらいいですか?
今はまだ情報が出ていないので、僕のInstagramかTwitterをフォローしておいてもらえたら大丈夫だと思います。
わかりました!YouTubeやAbemaTVで渚海くんの動画を観て予習しながら待ってます!今日はありがとうございました。
及川道場
有井選手が所属する及川道場では、他にも多数のプロ選手が所属。プロを目指す方はもちろん、ダイエットや体力維持といったトレーニング目的の方まで、一人ひとりのスタイルに合ったプログラムを組んでくれるのが特長です。プロの練習を間近で見ながらトレーニングできるので、興味のある方はぜひ見学&体験に行ってみてください!
大阪市此花区四貫島2-2-1 大進ビル2F・3F
TEL/06-6463-8757
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