身体、肉体、存在…自分自身がアートの一部に。白子侑季さんが生み出す唯一無二の「SHIRACO WORLD」。
阪急さんのおかげで、自分の進むべき道が鮮明になりました。やっぱりこの道で合ってたんだ、って。

白子さんの作品はとてもカラフルなのが印象的ですが、どんなものから影響を受けたのかが気になります。
色はどうでしょう、何の影響かな。子供の頃から一貫してカラフルな世界は好きなんですけど、昔のアニメってそんなにカラフルじゃなかった気がするし、ジブリとかディズニー、海外アニメも好きでしたけど、そこまでカラフルでもないし…。一体どうしたんでしょうね(笑)
あの世界観がどこから生まれたのか気になって。
そういえば、昔はクレヨンとか絵の具とか、きちんと並べてある状態が好きだったんです。でも、それを自由にごちゃ混ぜにして使えるようになったのが、専門学校に入ってからなんですよ。こんなふうに使ってもいいんだ、自由に描いてもいいんだって気付いて、何かが開花、覚醒した気がします。お行儀よく箱におさまっていた状態から、もっと自由にやってもいいんだ!って飛び出したみたいな。

そう考えると、やっぱり専門学校時代っていうのはすごく白子さんにとって重要な部分なんですね。
本当ですね。いや、なんか思い出させてくれてありがとうございます。20歳の時に開花しました、自分が。
今でも常に、作りたいものっていうのはあるんですか?これをやりたい、こうアウトプットしたいっていうものは。
ある時の方が多いんですけど、すごく悩んでた時期もあって。一昨年くらいに、私は一体何がしたいのかをもう一度問いかけるタイミングがあって。描きたいものがあるということが一番幸せなんだなと思いました。描きたいものが見つからない時は、迷ってる時だから苦しくて苦しくて。

白子さんはいつも何か表現したいものに溢れているイメージだったので、ちょっと意外です。
私も、こういう壁ってやっぱり来るんだなと思いました。それまではずっとあったので、作りたいものが。
それはどうやって乗り越えられたんですか?
インスタレーションとかグラフィックとか様々な表現方法でアウトプットしてるのも、私の中では一つなんですけど、周りから見るとやっぱり色々やってるように見えますよね。どの表現でアーティストとして花が咲くかわからないから、私としては手札をたくさん持ってる感じだったんですけど、でもそろそろどれかに絞らないといけないのかなと思っていて。そんな時に、阪急さんのウインドーの担当の方に作品を見てもらう機会が巡ってきて。いろいろ作品見てもらったら、グラフィックを気に入ってもらえて、え、こっち!?と思って(笑)。それで導いてもらえた感じがしますね。そこで迷いが打破できたというか。ウインドーなら空間を使うインスタレーションも可能だし、グラフィックも生きて来るし、レイヤーを重ねるみたいな感じで作るので、今までやってきたことが両方できる!叶う!と思って。そこで吹っ切れて。あ、これでやっと一つになった!って思えました。

インスタレーションもグラフィックも生かせるウインドーを手掛けたことで、どちらかではなく両方になったんですね。
阪急さんのおかげで、自分の進むべき道が鮮明になりました。やっぱりこの道で合ってたんだ、って。もっと器用な人ならもっと早くに気づいたかもしれないけど、私はけっこう遠回りして時間がかかったなと思ってます。でもそれもきっと必要な遠回りだったなって。
その迷いが消化されたのが、阪急百貨店のあのカラフルなウインドーだったんですね。
それと2022年の冬に、<フルスキャ。>っていうブランドを立ち上げたんですね。それまでは現代アートに全振りで、応援してくれてる人に買ってもらえるものが作品以外何もなかったんです。それで、グッズ的なものを作ってSUZURIで販売し始めたんです。私の中ではそれも作品なんですけど。そしたら、すごく楽しみにして買ってくださる方が増えて。悩んでいる間も<フルスキャ。>の制作は楽しくて、人に必要とされてることが嬉しいし、その事実が救いになるなと思って。
他にも『旅する赤いソファ “the Red Sofa Journey”』など、いろいろな活動をされてるなっていう印象がすごくあったので。
そうですよね。でも、自分の中ではすべて一つに繋がってると思います。自分の身体、肉体、存在を使って表現しているという点で。

迷いが吹っ切れての今ということですが、これからやっていきたいこと、チャレンジしてみたいことはありますか?
あります!もういっぱいあります!今もう進行中なんですけど、髙島屋大阪店様のキービジュアルを担当させていただくことになって。3月8日の国際女性デーのキャンペーン期間で、2月26日〜3月11日まで、1階の外壁をSHIRACO WAORLDでアートジャックさせていただけることになりました。3階にもフォトスブースが登場します。
すごい、梅田2か所に続いて、次は難波ですね!
ちょっと大阪制覇できるかも!?とか勝手に思ってます(笑)。あと、やっぱり大きなところでやりたいので、狙ってるところはあります。SHIRACO WAORLDに出てくるモチーフやパーツを立体にしたら、めちゃくちゃ面白いと思うんですよ。そこではそれが実現できるんじゃないかと思って。もうちょっと具体的にイメージできたら、売り込みに行こうと思います!
大阪の案件がひと段落したら、東京にもがっつり行こうと思ってます。17年前に売り込みに行ったラフォーレ原宿にも、キービジュアルやらせてくださいって行こうかなと思って。

今なら叶うかもしれないですね。そして、売り込みに行くバイタリティが素敵です。
そうなんです、自信が持てるとフットワークも軽くなるし。キャリアを積んでもいつでも下積みマインドで(笑)。人と関わるのも好きだし。私のことを知らない人の方が圧倒的に多いから、知ってもらうために新参者として、ちょっと見てくださいっていう姿勢でいきます。
1人代理店じゃないですけど、営業でもありディレクターでもありアーティストでもあり、しかも平面だけじゃなく空間や内装のこともわかるって、そんな人います?って感じがします。
大変ですけどね。でも、ディレクターを兼任しない場合もあります。あくまで軸はアーティストなので。
しかも、その表現に使う素材は自らの身体であると。
80歳でシワシワのおばあちゃんになった時に、レッドソファに座ってコカ・コーラのCMに出たいですね!その時まで健康で生きてなきゃいけないんですけど、叶う気がします。妄想が大切!
<白子さんのお気に入りの場所>
近所の川
冬から春先の太陽が低い時期とか、川面がキラキラ光ってて。見るだけで涙が溢れてきたり、感謝の気持ちを改めて感じられたり、自分に対して再確認したり、日々癒されたりしています。
近所の公園
散歩しながら季節を感じるのが好きです。自然から癒やしももらうし、インスピレーションももらいます。これからの季節は桜もめちゃくちゃキレイなので楽しみです。

SHIRACO WORLD / 白子侑季
和歌山県出身。アートを通して「LOVE yourself!」を世界に伝える表現者。『愛・いのち・自己』をテーマに2004年より創作活動をスタート。2014年より『自分自身が唯一無二の作品である』という思想と哲学のもと自身の肉体をモチーフとした【セルフ・オマージュ シリーズ】を発表。グラフィック、インスタレーション、ファッションなどジャンルに囚われない様々な表現方法で国内外問わず活動中。キービジュアル制作、企業とのタイアップ企画、ミュージカルの衣装制作など、多岐に渡り“世界観を創る”仕事に携わる。
海外での活動時に『SHIRACO WORLD』を名乗るようになり、現在ではアーティストネームであり、白子侑季が創り出す世界の総称としている。アートディレクターやデザイナーとして活動する際は『白子侑季』名義。
大阪・関西万博公式ロゴマーク 優秀賞受賞(2020年)
阪急うめだ本店コンコースウインドー アートワーク(2024年)
ルクア大阪・ルクアイーレ バレンタインウインドー アートワーク(2025年)など