大阪・粉浜のアートギャラリー『opaltimes』を営む内田ユッキさんの、人生をもっと楽しくするポジティブでしなやかなスタイル。


作家さんの思いを深く知れることがギャラリーを運営する醍醐味。今後は全国各地への出張も視野に入れつつ、見たことのないような企画をしていきたい。

アート以外に、内田さんに影響を与えたカルチャーはありますか?

映画ですかね。芸術関係の道に進もうと決めたのは、とある映画がきっかけでもあるんです。アートギャラリーに行き始めた高校3年生の頃から、九条のミニシアター『シネ・ヌーヴォ』によく通っていて。ある時、フランス生まれの芸術家、ニキ・ド・サンファルを追ったドキュメンタリー映画を観たんです。過激な表現活動で知られるアーティストで、彼女の映画を観て、私もこんな風に自由に表現したいと強く感じました。18歳くらいの頃は、ミニシアターに映画をたくさん観に行きましたね。

路上で絵を描いていたお話もそうでしたが、フットワークを軽くして自分の世界を広げて来たんですね。

行く先々で色んな人とお話していたので、自然と世界が広がっていったのかもしれません。女の子1人で色んな場所に行っていたので、今考えるとちょっと危なっかしいですね(笑)。天王寺の歩道橋で声をかけていただいて一緒に展示をしたりとか、三ツ寺会館のバーで出会った人とバンドをやらせてもらったりとか。イベントのお手伝いもめちゃくちゃ行っていて、当時の手帳を見ると、毎週末何かしらのイベントの手伝いや展示が入っていて、予定がびっしり埋まっているんですよ。誘いを断った記憶もあまりないですし、付き合いが良すぎたんだと思います。

週末は予定がびっしり!色んな場所で愛されていたんですね。

そう言っていただけると嬉しいですが、当時は自己肯定感がとても低かったので、人の役に立てることなら何でもやりたいという思いが強くて。今は自分でギャラリーを運営して、何とかみんなをサポートすることができているので、あの頃よりは成長できたんじゃないのかなと。作家さんとのコミュニケーションも大切にしていて、来てくれるお客さまにしっかり魅力をお伝えできるよう、できる限り作品に込めた思いを伺っています。お酒を飲める方であれば絶対に飲みに行きますし、未成年の方ならおいしいお菓子やジュースを用意して、精一杯おもてなしをします。ギャラリーという立場だからこそ、作家さんの真髄というか、内に秘めている繊細な部分にも迫れるじゃないですか。そこを知れるのもおもしろくて、ギャラリーを運営する醍醐味だなって思いますね。

どれくらい先まで展示のスケジュールが埋まってらっしゃるんですか?

今年のスケジュールは全部埋まっていて、来年も半分くらいは埋まっちゃいました。8年目にしてようやく周期が掴めてきて、この時期にDMを作って告知して……、みたいな流れができてきたんです。それもあって、最近ようやく自分のもの作りをする余裕が生まれたのかも。上の子どもが中3、下が小1で、保育園の送り迎えもなくなって、さらに仕事がやりやすくなったように思います。

お家が近いということですが、お子さんもギャラリーに来られるんですか?

よく来て遊んでいますよ。子ども向けのギャラリーと宣伝しているわけではないですが、ベビーカーで入っていただけますし、お子さんと一緒に在廊する作家さんもいらっしゃいます。一応2階にキッズスペースを作っていて、小1の娘がいる時は、遊び場のボスになってみんなと遊んでくれますね。近所の方も家族で結構来てくれるんですよ。

2階のアトリエの隣に作られたキッズスペース。おもちゃもたくさんありました。

人と人とを繋ぐ交流の場にもなっているんですね。

そうですね。自分自身、子育てを始めてからそういう場所になかなか行けず、孤独を感じていた時期があったので、その頃にあったらいいなと思っていた場所を無意識に作ろうとしているのかもしれません。だけど子育てだけに奮闘していた時期も、それはそれですごく豊かだったなぁと思うんです。きちんとお家があって、ご飯も食べられて、子どもの成長を間近で見ることができて。その時は孤独や焦りを感じていたけど、今考えると家族と過ごせる大切な時間だったんだと思います。

私は結婚も出産もまだ経験していませんが、今のように自分中心の自由な生活じゃなくなることが少し怖くはあります。

その時その時を大切にできればいいんじゃないのかな。「当たり前に呼吸ができて、体を動かせるのってめっちゃ幸せやん!」とか考えると、全てがハッピーになって、あらゆることにポジティブに向き合えると思います。

最後に、今後の目標や展望を教えてください。

先ほども言いましたが、イラストレーターになることですかね。改めて目指してみようと思います。『opaltimes』としては、この場所で8年営業させていただいて、新たなフェーズに移行してもいい時期なのかなと。この場所も大好きですが、もう少し広くて音を出してもOKな物件をゆるりと探してみるつもりです。あとは、困った時にお店をサポートしてくれる『opaltimes』のお助けコミュニティがあったらいいなって。明日運転してくれる人いませんかとか、急遽店番できる人いませんかとか、パッと相談したら助けてくれるようなクローズドコミュニティ。あくまで理想なんですけどね。ワンオペでやってるギャラリーの方も多いので、そういうコミュニティがあったらすごく助かるなって思っています。

これからチャレンジしてみたいことはありますか?

いつも協力してくれる作家さんやお友達と一緒に、「出張opaltimes」ができたらいいなぁと。関西圏に留まらず、東京や地方にもうちの企画を持っていきたいです。

『opaltimes』さんの企画って独自のカラーがあるような気がして、それは作家さんの組み合わせなのかテーマなのかわからないけど、すごく魅力的だと思います。

そう言っていただけて嬉しいです。毎回スペシャルなものを作りたいという意識は常に頭の中にあって。特別な組み合わせで、他では見れないようなものを届けたい。今後もそういう展覧会をやり続けていきたいです。

いただいたものや購入した作品を並べた内田さんのお気に入りスペース。住吉大社のお膝元らしく初辰猫もずらり。

<内田ユッキさんのお気に入りスポット>

粉浜商店街(大阪市住之江区粉浜)
明治時代から続く、活気に満ち溢れた商店街。惣菜などを販売する店舗も多く、作家さんへの差し入れに購入することも。『opaltimes』に来る際は、ぜひセットで訪れてみてください!

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Profile

内田ユッキ

大阪府出身。アートギャラリー『opaltimes』店主、ペインター。高校時代から絵を描き始め、会社勤めや結婚、子育てなどを経て2016年に『opaltimes』をオープン。自主企画をメインに、個展やグループ展を実施する。プライベートでは2児の母親。

Gallery

opaltimes(オパールタイムス)

大阪市住之江区粉浜1-12-1
月木金13:00〜17:00、土日祝13:00〜19:00
(展覧会期中のみ営業)
不定休

https://opaltimes.uchidayukki.com

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