再降臨した「心斎橋PARCO」が、ミナミにアート&カルチャーの火を点ける! その③

2020年11月20日は、心斎橋にPARCOが帰って来る日! PARCO不在の9年間、ミナミはなんとなく大人しかった気がします。「アート/カルチャー」をテーマのひとつに掲げる新生『心斎橋PARCO』は、そんな大阪にあって、文化の発信基地としての機能も期待される存在。その記念すべきオープニングを飾る3つの展覧会を、取材してきました。

ミスターブレインウォッシュは、アート界の「ポジティブおじさん」

スペース14で開催される「ミスターブレインウォッシュ エキシビション・ライフイズビューティフル」は、LA在住のストリートアーティスト・ミスターブレインウォッシュによる日本発の大規模個展。新作や描き下ろしなど、約80点の平面・立体作品が展示されます。今回はこの展示を企画した重藤瑠衣さんに、見どころなどをお聞きしました。

どんな経緯で、この展覧会は企画されたんですか?

ミスターブレインウォッシュは、バンクシーの初監督作品「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」(2010年公開)への出演をきっかけに、本格的にアーティストとしてキャリアをスタートさせました。この映画をPARCOが配給していたご縁があったのと、ミスターブレインウォッシュの日本のエージェントさんと何度かお仕事をしたことがあって、興味を持って接触してみたのが最初のきっかけです。
映画の公開後に彼がどうなったか知られてないと思うんですけど、実は世界最大規模のアートフェアであるアートバーセルに招聘されたり、ミシェル・オバマ前大統領夫人とコラボしてチャリティをしたり、様々な分野で活躍しているんです。 ふざけた感じでアーティストとしての活動がスタートしているんですが、ずっとやめずに続けて、きちんと実績を出してるところが面白いなと思って。

「ライフ・イズ・ビューティフル」のネオンサインと、ミスターブレインウォッシュからのメッセージ。

映画の後の10年間、ちゃんと活動を続けて、評価もされてるんですね。

マリリン・モンローやミッキー・マウスをモチーフにしたり、バンクシーやアンディ・ウォーホルなど人の作品使うことに対して批判的な意見もありますが、アートの世界では評価されている側面もあります。何より本人が、批判や否定に対して「言いたいことがある人は、好きに言えばいいさ」っていうスタンスなんですよ。自分はやめずに10年続けてきたから今があるし、みんなもやりたいこと続けてがんばって!みたいな感じで。オンラインでロングインタビューもさせてもらって、その内容も図録に収録しているんですが、器が大きいというか、とにかくポジティブなんですよ。

数々のセレブリティをモチーフにした作品。実はちゃんと許可を取っているというところも意外。

たしかに、作品も前向きというか、ハッピーな感じがします。

「ライフ・イズ・ビューティフル」という言葉は彼の作品でもあり、今回の展覧会のタイトルでもあるんですけど、とてもポジティブなメッセージですよね。コロナ禍でネガティブな気持ちに陥りがちな今だから、このすごくハッピーなメッセージを届けたれたらいいなと思います。

メジャーな作品から、2020年に入ってから制作された新作まで、約80点のボリュームで展示。

この展覧会を、心斎橋PARCOのオープンに持ってきたのは何か理由があるんですか?

大阪にあいそうだなって(笑)。賑やかで楽しそうで、ハッピーな感じが。記念すべき9年ぶりのオープンなので、インパクトのある展示をしたいと考えていて、当初は東京スタートを想定していたんですが、大阪のオープニングでどーんとやれたら楽しいなと。あと、ちょうどバンクシーの展覧会が大阪に来ているので、バンクシーとミスターブレインウォッシュ、合わせて鑑賞してもらったら絶対面白いだろうという目論見もありました。

コロナ禍の今だからこそ余計に刺さる、明るくポップな色使いと、前向きなメッセージ。

重藤さん的に、ここが見どころ!というポイントは?

アートのアカデミックな部分とか文脈とか背景とか以前に、単純に大人から子供まで楽しめてインパクトを感じる作品が多いので、まずはそこがいちばんの魅力ですね。生で観たら迫力もあるし面白いので、先入観なく、シンプルに楽しんでもらえたら。アートは見た人の価値観次第なので、美術評論家が評価しているからとか、誰かがいいって言ったからとかじゃなくて、自分が見て好きか嫌いかでジャッジしていただいて全然いいと思います。

みんなが知ってるセレブやキャラクターがモチーフだから、子供も楽しめるかも。

美術的に評価されてるとかそういうことは意識せず、自分の好き・嫌いで楽しんでいいんですね。

はい、評価は見る人次第なので。あとは、今回の展覧会用に描き下ろされた新作も大阪で初お披露目なので、それもぜひ観ていただきたいですね。マリリン・モンローをモチーフにした作品も、今回用に「ステイセーフ」っていうタイトルで口元をバンダナで覆ってるんですよ。バンクシーの有名なサルをモチーフにした作品も、作品リストに記載はなかったのに、搬入された作品を見たらマスクが着いていて。当初は展示する予定がなかったんですが、2020年らしい作品なので飾ることにしました。

当初は予定になかったマスクをつけて搬入されてきた作品。「薬局で売ってるようなマスクなのがまた(笑)」

日本語が書かれた作品もありました。

日本で展覧会をすることになったので、彼がふだん発信しているメッセージを日本語に訳して書いてくれました。直訳だからすごくストレートなんですけど、そこがまた面白いというか。

会場のセッティングもすごく面白いですね。

もともと劇場なので、天井が高いんです。その特徴も生かした展示を建築家のDDAAさんが考えてくださって、空間を楽しみながら作品を鑑賞できる会場になりました。ゆっくりミスターブレインウォッシュの世界を楽しんでもらえたら嬉しいです。ちなみに会場内は作品の撮影もOKですし、展示作品はすべて販売しています。

会場内を編み込むようにパンチカーペットを配置。
左奥の名画をアレンジした作品は、ミスターブレインウォッシュの自宅にも飾られているそう。

え、買えるんですか!?

はい、全部買えます!

いつかお金持ちになったら……。今はまだ無理なので、図録やグッズにしておきます。

「life is beautiful」のオブジェ。お部屋にひとつ置きたいところですが、手が出ません。


(後書き)
「アートは自分が観て、好きか嫌いかでOK」という重藤さんの言葉どおり、理解しようとせず、単純に面白い、好き、楽しい!で鑑賞。作品のポジティブオーラとも相まって、なんだか「自分の好きな道をいったらええねん!」的なメッセージをもらって会場を後にしました。社会風刺的な作風のバンクシーとはまた違うミスターブレインウォッシュの作品、ほどよくちょけた感じが、大阪のノリにも合う気がします。

Profile

株式会社パルコ
エンタテインメント事業部 コンテンツ事業担当 展覧会チーム
重藤 瑠衣(しげとう るい)さん

「きのうなに食べた?」展、「‘のん’ひとり展 -女の子は牙をむく-」など、話題の展覧会を手掛ける重藤さん。ZOOMでインタビューした際のミスターブレインウォッシュの印象を聞くと「元気なポジティブおじさん」とのこと。

Exhibition

ミスターブレインウォッシュ エキシビション・ライフイズビューティフル
MR.BRAINWASH EXHIBITION LIFE IS BEAUTIFUL

心斎橋PARCO 14階「スペース14」
2020年11月20日(金)~12月6日(日)
主催・企画制作:PARCO

https://art.parco.jp/shinsaibashi/detail/?id=531
https://shinsaibashi.parco.jp/event/detail/?id=8387

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