民家の中に「ギャラリー」「制作スタジオ」「イベントスペース」を設ける大阪・西成区のアートラボ、SUCHSIZE(サッチサイズ)が、“記憶の共有と継承”をテーマにした展覧会「Tender Recalls / Prospective Futures」を近隣のアートスペースと協働で開催しています。

今回の企画では、ベトナム出身のアーティスト、チ・L・グエン(Chi L. Nguyn)と、アメリカを拠点に活動する野村在(Zai Nomura)の2名を迎え、他者の記憶に触れることから生まれる新しい関係や認識の変化を探ります。SUCHSIZEは、西成という多文化が交わる街に根ざしながら、アートを通じて“他者との関係を見つめ直す場”として活動してきました。本展もその流れの中で企画されたもの。地域の空気や人々の記憶を背景に、現代社会における「記憶の共有と継承」という普遍的なテーマを、多様な素材と表現で浮かび上がらせます。

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記憶を“味わい”、触れるアート

出展する2人のアーティストは、それぞれ異なるアプローチで「記憶」を可視化します。

チ・L・グエンは、ライスペーパーという繊細な素材に家族や植民地時代の記録を描き重ねる作品を通して、受け継がれてきた記憶の層や境界を表現。

一方、野村在は、認知症の方が所有する過去の写真が印刷された飴を溶かし、綿飴(わたあめ)として生成する彫刻作品を通じて、鑑賞者が他者の記憶を“食べる”という体験的な継承を提示します。

どちらの作品も、見るだけでなく五感で“記憶に触れる”ような体験を誘います。

チ・L・グェン《Letters to My Father》展示風景
野村在《Lost and Found》展示風景

西成という街と、SUCHSIZEの実験

西成は、古くから多様な文化や人々が交差し続けてきた土地。SUCHSIZEはこの場所に拠点を構え、アートを媒介に地域と社会の関係性を考える実験的な活動を行ってきました。

本展「Tender Recalls / Prospective Futures」もまた、変化の絶えない社会の中で、記憶を分かち合うことで生まれる“つながり”を問い直すプロジェクトです。日常にある素材がアートへと変わる瞬間、そして他者の記憶と自分の感覚が交わる体験を、ぜひこの空間で感じてみてください。

SUCHSIZE(サッチサイズ)

SUCHSIZEは、2024年に大阪市にて設立したアートラボ。言語化できない事象を抽象的かつコンセプチュアルな視点から読み解くアーティストを招聘し、展覧会やトークイベントなどを開催しています。民家の中に「ギャラリー」「制作スタジオ」「イベントスペース」を併設し、鑑賞者とアーティストが気軽にコミュニケーションをとれる空間に設計しています。また、季節ごとに開催される展覧会やイベントなど、様々な交流ができる場所として開かれています。

公式サイト:https://www.suchsize.com/
Instagram:@suchsize

INFORMATION

Tender Recalls / Prospective Futures

会期:2025年10月17日(金)〜11月23日(日・祝)の金・土・日曜
時間:13:00〜18:00
会場:SUCHSIZE(大阪市西成区山王1-6-20)/イチノジュウニのヨン(山王1-12-4)

会期:2025年10月30日(木)〜11月21日(金)の月〜金曜
時間:9:00〜18:00
会場:MaDO(大阪市西成区山王2-14-15)

料金:入場無料
主催:SUCHSIZE

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