2025年、京都芸術センターは25周年を迎えました。昭和初期に建てられた元・明倫小学校の校舎を改装し、2000年に誕生した同センターは、木造廊下や講堂といった学校の面影を残しながら、現代アートの拠点として独自の存在感を築いてきました。これまで、国内外のアーティストが滞在制作を行い、地域と交流しながら新たな作品を生み出す場として機能。演劇やダンス、音楽、美術、伝統芸能といったジャンルを横断し、多彩なプロジェクトを発信してきました。

そんな25周年を記念する公演として上演されるのが、劇団不労社・西田悠哉による『タイムズ』。第20回OMS戯曲賞特別賞を受賞した林慎一郎の戯曲を、新しい演出でよみがえらせます。『タイムズ』は、コインパーキングやゲームセンター、スタジアムの客席、インターネットの狭間など、都市の“隙間”を舞台に展開。現実と虚構を行き来しながら、移ろいゆく時代と人間の普遍的な営みを描き出します。舞台芸術をめぐる状況が大きく変化したこの10年に、あえて再演される意義も見どころのひとつです。

今回の公演には、不労社の劇団員に加え全国からのオーディションで選ばれたキャストが参加。音楽は京都を拠点に活動する in the blue shirt が担当し、25周年記念にふさわしい、フレッシュかつグルーヴィーな舞台が期待されます。25周年を迎えた京都芸術センターが贈る、世代や地域を超えたコラボレーション。「都市の隙間」を舞台にした新しい演劇体験を、この記念の年にぜひ体感してみてください。