
日本古来の自然観や自分自身の内面の変化と環境、他者との繋がりをもとに独自の絵画表現を追求する現代アーティスト・濱大二郎。神戸のヴィンテージショップ『PUKUI』と『Paper store』のオーナー兼バイヤーとして世界各国のヴィンテージファッションやポスター、オブジェなどを蒐集・紹介する福井浩亮。そんな二人の感性と軌跡が共鳴する今展では、濱大二郎はヴィンテージの布や衣服を自ら解体・再構築し、そこに絵画を重ねることで布に宿る記憶を呼び起こし、“いま”を映し出すような作品を生み出しています。そして福井浩亮は、時代や地域を超えて蒐集した服飾やポスター、オブジェの断片をもとに、忘れられた文化や思想の痕跡を「声をもつオブジェ」として提示。

二人の作品はそれぞれに異なる方法で「過去に耳を澄まし、いま応答する」表現を展開し、やがて「私たちは何を受け継ぎ、何を未来に手渡すのか」という問いへと繋がっていくのです。その交差点に現れるのが「赤」。国家や革命、怒りや祈り、語られなかった記憶の象徴でもあるこの色が、両者の作品を結びつける鍵となり、根源的なエネルギーとして現れていく…。彼らのひとつ、ひとつの作品から生み出されるメッセージをぜひ会場で受け取り、あなた自身の応答や想いを心に宿してみてください!

展覧会ステートメント
古代の祈り、トライバルな伝承、革命を孕んだストリート、人はいつの時代も、表現というかたちで世界に応答し てきた。 濱大二郎は、ヴィンテージの布や衣服を自らの手で解体・再構築し、そこに絵画を重ねることで、布に宿る記憶 を呼び起こし、いまを映す像として表現する。 福井浩亮は、時代や土地を越えて蒐集した服飾やポスター、オブジェなどの断片を通して、忘れられた文化や思想の痕跡を、声を帯びたオブジェとして提示する。両者の表現 は、「私たちは過去から何を受け取り、何を未来に手渡すのか」という問いへと交差する。 その交差点にあるのが「赤」。国家や革命、怒りや祈り、語られなかった記憶の象徴として複層的に響く色。本展 において「赤」は、根源的なエネルギーとして現れる。それは、見えているものの背後にある「生きられた歴史」 と、まだ形を持たない「これからの風景」とを接続するための触媒である。 古い布に描くこと、過去の物を手に取ること。それは単なる記録や装飾ではない。世界にもう一度「応答する」ための行為である。本展は、“視る”だけの場所ではない。“聴く”ための場である。語られることのなかった声、表現者たちのうちに響く“Echo(残響)”を私たちは聴き取り、また新たに“Re:Act(応答)”する存在となる。
キュレーター・渡邊賢太郎
神戸を拠点に、世界各国のヴィンテージファッションやポスター、オブジェなどを独自の視点で蒐集・紹介するヴィンテージショップ『PUKUI』と『Paper store』のオーナー/バイヤー。時代や地域、文化の背景に深くアプローチし、それぞれのアイテムに宿る思想や社会的文脈を掘り下げながら、テーマ性を持った展示販売のスタイルで活動する。店内での展示構成やブログでの発信は、文化的リサーチと実践のあいだに位置づけられ、表現と生活、過去と現在をつなぐハブのような役割を果たしている。
Instagram:@store_pukui
Instagram:@paper_store_kobe
「Red Echo / Re:Act|赤の残響と応答」
日程: 2025年7月5日(土)〜7月21日(月)
場所: Pulp Gallery(大阪市西区南堀江1-14-14-103)
時間: 13:00〜20:00
休み: 水曜・木曜
入場: 無料
主催: 108artworks
Instagram: @pulp_gallery
Instagram: @108artworks_kyoto
島根県出雲生まれ。神話や寺社文化に親しみながら育ち、各地のトライバルカルチャーや民話、音楽、色彩感覚に影響を受ける。2005年にカナダ・トロントへ移住し、ヴィンテージディーラーを生業としながら、映像制作コレクティブの一員として衣装・美術を担当。帰国後、京都で墨家・吉田礼子に師事し墨表現を学ぶ。2018年からオランダのデン・ハーグを拠点に、絵画やライブパフォーマンスを国内外で発表。日本古来の自然観や自分自身の内面の変化と環境や他者との繋がりをもとに、架空の生物や現象を描き、映像的な絵画表現を試みている。
Instagram:@daijiro.hama