2023.10.30
他者と自己の関係性をテーマにした作品を発表している美術家の倉敷安那。今回の個展「あなたの髪のひとつ(だった)」では髪にまつわる話をリサーチし、美容室の顔も持つ『haku』で、髪を通じた神話や物語を取り入れた新作を展示しています。タイトルにもある髪というテーマは、かつて床屋が医療の立場であったルーツと、現代では美容の側面でもあるという位置づけに注目したもの。また、髪をモチーフにした伝承や物語では、身代わりなどの犠牲としても扱われる素材であり、他にも髪にまつわる話は数多くあります。もちろん、人を印象づけるポイントとしても重要なものでもあります。そうした多様な一面を持つ髪を、人との関係性を表すものであると考えた倉敷安那の作品からは、いくつもの想いを巡らせることができるはず。髪から始まる人と人との関係性について、再考できるきっかけになると思います。
倉敷 安耶
くらしき あーや
Information
倉敷安那 個展「あなたの髪のひとつ(だった)」
日程: 2023年10月27日(金)~11月12日(日)
場所: haku kyoto(京都府京都市下京区中之町566)
時間: 12:00~20:00
営業日: 金曜日、土曜日、日曜日(月曜日、水曜日、木曜日はスタッフ不在ですが観覧可能)
https://www.haku-kyoto.com/
Instagram:@haku_kyoto
1993年兵庫県生まれ。現在、京都と東京を拠点に活動。倉敷は一貫して自身が肉体という物質の壁、またはそこに付属するカテゴライズによって、人間が絶対に断絶された孤独な存在である中での、他者との距離について考えてきた。作中では転写技法を用いた平面作品を中心にパフォーマンス、インスタレーションなど複数のメディアを取り扱い、他者との密接なコミュニケーションや共存の模索、あるいは融合などを試みる。例えば我々が別々の身体を持つが故に生まれる分断に対し、我々の溝を少しでも均し、現実世界での共生を図るための制作。あるいはその究極体として、身体から解放され、個々の存在は個々として存在しつつも全体と折り混ざり、一体化していく涅槃を目指す行為としての制作。または孤独への対応策として、鑑賞者と自身の間に何らかの形で作品を挟むことによって、一時的な近しい(と仮定した)関係性を紡ぐ行為など。
http://aya-kurashiki.com/
Instagram:@ayakurashiki