※「制作過程より」

既製品や日用品を用いたオブジェ、インスタレーションの制作を行っている香川裕樹。彼の作品は、ものを置くという行為を起点としながらも、固定や配置の維持は想定されておらず、ある程度の時間を要しながらその都度の展示される空間ごとに配置され、組み立てられていく。それは唯一の正解として、固定されたカタチや構成を持つ作品をただ搬入するような再現や仮設ではなく、「置いた対象と対峙可能な状態」が不安定なまま保たれることで、見るという行為や作品の完成を宙吊りの状態にしながら、展示として成立させているという。

※「過去作品《不安定な足場での配置》2014」
※「《球の入った箱》2013」

今回の展示は、そのような香川独自のアプローチを長期間設けることによって、考える深度を生み出していくこと、もしくは制作場所・展示場所といった場所の区分を捉え直していくことを試みている。

※「制作過程より」

また、展覧会期間終了後には、アフタートークなどのイベントも開催。会期間中に来場したお客様にのみ、開催日時などの詳細が明かされるそうだ。このアフターイベントの開催時には作品の展示がないものの、事前に作品鑑賞した経験と併せ、作品にまつわる話や作家本人のみならず、香川の作品を見た人々がそれぞれの視点で、「見る」ということについて考える場を生み出されていく。香川の作品を2度楽しめるおもしろい試みなので、皆さんもぜひ!

※「タイトル未定(部分) 2023」

『NEST』は、建築家の加藤正基や画家として活動する原口みなみをはじめ、アートディレクターや様々な人が関わる『Birds』が運営するスペース。ただ発表のための展覧会を行うだけではなく、作品制作のための実験や、新たな試みを行う環境として余白のあるかたちを目指しているとのことなので、今後の展開も楽しみにしておきたい。


【香川裕樹のコメント】

なぜその時それをそこに置こうとしたのかといった理由や動機のようなものは、
いずれ忘れてしまい、二度と思い出すこともなく消えていってしまいます。
自分が行った配置という行為の結果のみが、作品という形式を用いて
別の時間や空間で存在していて、それらを当時と同じような感覚や眼差しで
見つめることはできないことも分かっています。
作品を意図的に固定しないことは仮設とも再現とも異なる大きな枠組みから
逃れるための手段に過ぎないのかもしれません。

香川 裕樹
Hiroki Kagawa

1988年香川県生まれ 。京都造形芸術大学 空間演出デザイン学科 卒業 既製品や日用品を用いたオブジェやインスタレーション制作を行う。 主な個展に「配置と放置」(MATSUO MEGUMI+VOICE GALLERY pfs/w 2014)。主なグループ展に「未来の途中プロジェクト 未来の途中の、途中の部分」(京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA 2017)、「未来の途中のリズム-美術・工芸・デザインの新鋭10人展」(京都工芸繊維大学美術工芸資料館 2016)、「Installing of the Exhibition “BNF” & Artist」(ARTZONE 2015)、「KUAD graduates under 30 selected」(京都造形芸術大学 Galerie Aube 2014)、「これからのそれから…And Then」(MATSUO MEGUMI+VOICE GALLERY pfs/w 2013)など。

日程: 2023年5月3日(水・祝)~5月27日(土)
場所: NEST(大阪市天王寺区寺田町2丁目1-16 三隅ビル 2F)
開廊日: 金曜~日曜及び祝日
時間: 13:00~19:00
MAIL: m@birdseatbread.jp (担当:山本)

https://birdseatbread.jp/

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