僕らの神様はLOVE・MUSIC・DANCE。メンバー全員が様々な国にルーツを持つ多国籍バンド・ALIがピュアに音楽と向き合い掴んだもの。
『BEASTARS』や『呪術廻戦』といった人気アニメの楽曲を手掛けたことで一気にその名を押し上げたバンド・ALI。ボーカル担当でありバンドのリーダーを務めるLEO、ギター担当のCÉSAR、ベース担当のLUTHFIの3名で構成され、メンバー全員が多様な国にルーツを持つことで知られています。ソウル、ジャズ、ラテンミュージック、ヒップホップなど、様々な要素をミクスチャーしたオリジナリティ溢れる楽曲は、国内のみならず海外でも高い評価を受けているそう。そんな彼らが出演する『OSAKA NIGHT PARADE』が、6月17日(土)に大阪城野外音楽堂にて開催。イベントに先駆けて独占インタビューを行いました。クールなヴィジュアルからは想像できないほどピュアに音楽と向き合う彼らの原点、そして魅力に迫ります。ぜひ読んでみてください!
レコード音楽に込められた魂を現代に昇華したい。DJカルチャーへの憧れとリスペクトを胸に楽曲制作をしています。
ALIといえば多様な国にルーツを持つ人が集まったバンドとして知られています。
LEO:スペインとイギリス、日本の血が混じっていて、渋谷で生まれ育ちました。
LUTHFI:僕はインドネシア・ジャワ島のバンドンという村出身で、2年ほど前日本人に帰化しました。今は楠間(くすま)という苗字になっています。
どうして楠間さんに?
LUTHFI:もともと「クスマー」という名前で、そこに漢字を当てることになった時、大好きなトトロが楠の中に住んでいるから楠間にしたんです。
CÉSAR:闘莉王みたいなイメージですね。僕はブラジルと日本のハーフで、母は神戸で『コパカバーナ』というブラジル料理店をしています。
CÉSARさんはよく関西に帰って来られるんですか?
CÉSAR:ライブがある時にちょこちょこって感じです。それこそ昨年は『KOBE MELLOW CRUISE』の後に『コパカバーナ』で打ち上げをしました。普通に飲み食いしてたんですけど、急に爆音で音楽が流れて母親たちのサンバショーが始まってめちゃくちゃびっくりして。「LOST IN PARADISE」でサンバを踊っていたのが衝撃でした。
LEO:昨年の『KOBE MELLOW CRUISE』が初めてのフェスだったんですが、ライブが上手くいかなくて反省会をしていたんです。そんな時ふいにサンバショーが始まって、バチバチの格好をしたママたちが30人ほど円になって踊ってて。あの光景は忘れられないです。
CÉSAR:だから「とりあえず東京帰ってから考えよう」って。
お母さまは関西のテレビなどにも出演している有名な方ですよね。
CÉSAR:読売テレビの情報番組『す・またん!』の準レギュラーで、阪神タイガースが借金を返すとサンバしながら登場するんです。番組のスタッフさんが母のことをめっちゃ気に入ってるみたいで、『KOBE MELLOW CRUISE』でのライブに母親経由で『す・またん!』の密着を付けてもらいました(笑)
きっと魅力的な方なんですね。3人はどんな風に出会ったんですか?
LEO:ALIはハーフだけを集めて2016年に結成しました。僕とLUTHFIを含め、最初は7名ほどメンバーがいたんですが、メジャーデビュー直前にそのうち2人が辞めちゃって。CÉSARは立ち上げメンバーのツレで、いずれ一緒にやりたいと思っていたので、2人抜けるってなった時に速攻連絡しました。
CÉSAR:電話をもらって1週間くらいでライブもやりました。それが2020年くらいのことかな。
LEO:CÉSARは僕の10個下なんですが、最近いろんな共通点があるとわかって。お互い能楽に先祖のルーツがあったりとか。日本の伝統芸能とは真逆の顔してるのに意外だよね。
CÉSAR:おじいちゃんが能をやってたという話をしていて「僕も」ってなったんです。
LEO:石川県に能楽堂っていう建物があって、そこにある銅像がご先祖様みたいです。
CÉSAR:僕の家にも由緒正しき江戸時代の能面があったけど、お金に困ってどっかのお寺に売っちゃったみたいです。母親の苗字も一緒なんですよね。
LEO:サンティアゴっていうラテン系の人に多い苗字なんです。僕らは大体3人揃ってハイエースで移動していて、いろいろ話している時に偶然判明しました。
ハーフバンドというコンセプトは結成前から決めていたんですか?
LEO:最初から決めていました。別のバンドも組んでいたんですが、20代後半になった時、歳を取ってもずっと変わらない一貫したスタイルのバンドをやりたいなと。そこでハーフだけを集めた、これまでにないバンドをやろうと決めました。
最初に決めた軸を今でも大切に活動されているんですね。
LEO:CÉSARが入って新しい刺激も増えて、どんどんプラスの方向に変わっていったと思います。アニメとのタイアップもいただいて、いろんな人に聞いてもらうきっかけになりました。新しい仕事やライブをやる度ひとつひとつ吸収して、僕らは何ができるんだろうと考えつつ足掻きに近い感じで活動しています。
ALIは様々な国にルーツがあるバンドですが、その音楽性もジャンルを問わず多彩ですよね。これまでどんなカルチャーに触れてきたのでしょうか?
LEO:僕がDJをしていたりCÉSARがレコード屋で働いてたり、みんなレコード音楽が好きなんです。1曲しか有名じゃないアルバムや無名のアーティストの盤もあるけど、それがすごく名曲で価値のあるものだったりもして。彼らの報われなかった魂を現代に昇華してみたい。自分の心をわし掴んでくるこの音を、現代のバンドセットで再現したらどんな気持ちになるんだろうっていうのがバンドの原点。だからDJカルチャーへの憧れとリスペクトを込めつつ、僕らなりの解釈を加えながら楽曲制作をしています。昔からお世話になっている『WACKO MARIA』のボスがレコード好きだったので、その影響もありますね。
ALIの楽曲には音楽に対するリスペクトが息づいていると感じます。『BEASTARS』や『呪術廻戦』といったアニメの楽曲も手掛けられていますが、音楽以外にもお好きなものはありますか?
LEO:ジャンプを毎週欠かさず買っているくらい漫画やアニメは好きですね。月曜まで待ちきれなくて日曜の23時くらいに買っています(笑)
そんな大好きなアニメの楽曲制作に関われることになって、どんな心境でしたか?
LEO:お話をいただいた時はとても嬉しかったです。僕らの楽曲がもっといろんな人に届くきっかけになってほしいと思いました。最初は海外の人にウケちゃったんですが、最近になってようやく日本にも僕らの存在が浸透してきたのかなと。海外でライブをすると、たった2曲のために信じられないくらいの人が集まってくれるんです。それはもちろん嬉しいけど、僕らはメイドインジャパンのバンドとして活動したかったので、少し寂しくはありました。もっと僕らのことを知ってる人が増えてほしいなとは思います。
ALI
Vo.のLEO(中)、Gt.のCÉSAR(右)、Ba.のLUTHFI(左)からなるバンド。様々な国にルーツを持つメンバーを集めて2016年に結成され、メンバーの脱退などを経て現在は3人組に。テレビアニメ『BEASTARS』のオープニングや『呪術廻戦』のエンディングを担当したことでも知られている。
松本 いづみ(ライブ写真)