『たとえばボクが踊ったら、』がカムバック!仕掛け人である夢番地の大野さんとMCを務めるFM802の加藤さんに、開催に向けたいろんな想いをインタビュー。
誰もしたことがないのは何かなと考えた時に、フェスしてるのに出演アーティストが全て自分の担当だったらおもろいなと。『たとえばボクが踊ったら、』は、完全にそこですね。
第2回目の『たとえばボクが踊ったら、』は、1年空いて2018年の開催でしたね。
大野:今回の第4回目も2会場展開ですが、そのカタチで最初に開催したのが2018年でした。服部緑地野外音楽堂は公園内にあり、そこ以外で音を鳴らす概念がなかったので、1年かけて会場側や公園協会に想いを伝えて「では、やってみましょう」と納得してもらったんです。
加藤:『たとえばボクが踊ったら、』を大きくしていきたい想いは最初からあったんですか?
大野:服部緑地公園がすごく広大なので、夢というか絶対無理なんだけど、陸上競技場や他の広場もあるから全部使いたい想いはあったかな。でも、音を鳴らす規制とか現実的な問題もあるから、5ステージくらいで展開できたら理想。そんな想いをいつか実現するために、まずは近くの広場からスタートしたのが2会場展開の発端なんです。
加藤:フジロックの小さい版みたいなイメージ?
大野:そんな感じでできたらおもろいねんけどね。ただ、街の真ん中にあって音が鳴らせる時間も決まってるし、いろんな会場を作ったら移動時間もかかって全ステージが観れなくなってしまう。今回の2会場間も5〜10分は歩くから、会場を増やしすぎるのは難しさもあるなと。
でも、実現できたら都市型フェスの新しいカタチが生まれそうですね。他のフェスとの差別化という点では、タイトルやバンドの組み合わせなどで“らしさ”も十分ありますが、特にこだわってることは?
大野:差別化というか、他と似たことしてもおもろくないのは分かってるし、誰もが思ってるはずなんです。でも、誰もしたことがないのは何かなと考えた時に、フェスしてるのに出演アーティストが全て自分の担当だったらおもろいなと。『たとえばボクが踊ったら、』は、完全にそこですね。自分が担当で、自分の好きなアーティストを自分の好きな場所で観てもらう。すごい単純かもしれんけど、理想的だなとは思ってます。
理想的だし、すっごい贅沢!大野さんを知ってる人からすれば、まさに大野フェスですよね。
大野:「できるもんならやってみろ!」というのは、ちょっとあるかな。できるかもしれないけど、なかなか自分の担当だけでは難しいですからね。このフェスはそれが成立してるのが、おもろいんですよ。
加藤:常に大野さん視点だし、だからこそブレない。第1回目の2組もそうですが、全然違うところに位置してるけど、「大野さんだからね」と思えますから。
大野:それ、よく言われる(笑)
加藤:出演アーティストが増えていっても、やっぱり大野さんだし、本当に好きなアーティストを呼んでるんだなって思います。
大野:ブッキングしながら、「全部好き!」って思うからね。例えば、フェスに行く人は「このアーティストを観に来ました!」って言うけど、『たとえばボクが踊ったら、』の場合は「このフェスに!」って感じで、全体として観てもらってる話はめちゃ聞くかな。
『たとえばボクが踊ったら、』という存在を愛されてるのは、主催者側としてもたまらなくうれしいですよね。
大野:「ジャンルを超えて」とか言われたりするけど、同じ音楽ですからね。いい音楽を聴いて、おいしいビールが飲めたら、それだけでええなと。
加藤:そして、気持ちよく踊る。お客さんもみんな、そんな感じで楽しんでますね。
いい1日ですよね、それは。
ワクワクしてるお客さんの顔を見ると高まりますし、MCで「ちょっとちょっと、みんなどうなのー?」みたいな感じで問いかけてるうちに自分もどんどん楽しくなっちゃう。
いい音楽を聴いて、おいしいビールを飲んで、踊る。それが最高なんですけど、この『たとえばボクが踊ったら、』を立ち上げてよかったなと思うのは、どんな時ですか?
大野:うーん、なんやろ。お客さんはもちろん、MCしててすごく楽しそうな真樹ちゃんを見たりすると、こっちもアガるしね。真樹ちゃんはどう思う?
加藤:お客さんが自由に楽しんでるんですよね。今年もコロナ禍だから守るべきルールはあるんですが、そうじゃない時でも「飲み過ぎないでね!」とかの諸注意はしてるけど、みんなが自己責任を持って楽しんでる。そんなお客さんと一緒の時間を共有できてるのが、好きかな。
お客さんもこのフェスが好きだし、音楽を愛してるからこそですね。
大野:また開催してほしいと思いながら観てくれてるはず。場所が公園だし、ゴミとかがあふれてたら次は貸してくれなくなりますからね。すごく理解してくれてるなと思います。2018年に初めて2会場展開した時も、終わって確認したら会場内も移動する道にもゴミがなかったんです。会場側からは「ほんとにフェスしたんですか?」って驚かれましたからね。
加藤:「ゴミは持ち帰ってね」とは言ってましたけど、めちゃキレイでした!それに、私はフェスの後に番組があるからお客さんから感想も届くんです。「来年もあったら絶対に行きます!」とか、みんなのうれしそうなメッセージを見ると、ほんとにいいフェスやなって。
興奮が冷めやらぬままに確認できるから、余計にグッときますよね。先ほど大野さんが加藤さんのMC姿が楽しそうと言ってましたが、MCをお願いした決め手って?
大野: DJデビューした時から知ってるし、真樹ちゃんの番組に担当してるアーティストがよく取り上げてもらってたので、お世話にもなってたんです。それに音楽の好みも合うし、『MEETS THE REGGAE』のMCもお願いしてたから、もう真樹ちゃんしかいないなと。
加藤:大野さんのおかげで1年に2つも大きなフェスの現場を任せてもらってます!
大野:いつも台本は用意してるんですけど、真樹ちゃんはいろんな要素を組み込んでいい感じでMCしてくれるんです。キチッとした原稿をゆるい言い回しにしてくれたり、現場での対応力はマジですごいなと。「今、MCで出よか?出よか?」って、何を言うか決まってなくても状況を見て判断してくれますから。
加藤:鍛えられてきましたからね。トラブルは付きものだし、「今はこれ言って」というのを繰り返してきたから、大野さんの考えてることも大体は分かるんです。
大野:阿吽の呼吸ですね。『たとえばボクが踊ったら、』は今回で4回目ですが、他にも番外編的な『Chillax』や『MEETS THE REGGAE』でもMCをしてもらってるのでね。
いいチームですよね。加藤さん自身、MCをしてるとどんどんテンションが上がってしまう時はあります?
加藤:ありますね。ワクワクしてるお客さんの顔を見ると高まりますし、MCで「ちょっとちょっと、みんなどうなのー?」みたいな感じで問いかけてるうちに自分もどんどん楽しくなっちゃうんです。アーティストの出番によっては最前列に陣取るお客さんのムードも変わったりするので、そこに寄り添ってると自然とテンションも上がりますね。ずっと楽しんでるし、私も観客の1人みたいな気持ちですね。
まさに一体感!当日、大野さんはどんな動きをしてるんですか?
大野:全アーティストの担当なので、とにかくライブを観て回って「ありがとう!」と伝えながら乾杯してます(笑)。ギリギリまで準備に追われてますけど、フェスが始まったらあんまり仕事っぽくならないようにしてるかな。決断を迫られる時は自分が出ますけど、それ以外は遊んでます!
加藤:私もいろんな現場を見てますけど、大野さんはあんまりいないタイプのイベンターさんかも。頭の中ではすごく考えてるんですが、パッと見はすごくゆるい。あの感じは独特だなーと。
大野:さすが分かってる!その通り(笑)
加藤:進行とかめちゃくちゃ考えてるはずだし。
大野:テンパってる感じは出したくないんですよ。楽しむことは意識しつつ、頭の中だけで考えてる状態。やっぱり主催者側がテンパってるのはイヤでしょ?
テンパってると、周りにも伝染しそうですし。
加藤:ゆるく楽しそうにしてるから、周りも自然と動いてくれるんですよね。もちろん、みんなも大野さんがギリギリまで動き回って準備してるのを知ってるからこそ、「大野さんに楽しんでもらう!」となってるんだと思います。
大野 秀幸
コンサートのプロモーターである株式会社夢番地に所属。『たとえばボクが踊ったら、』の仕掛け人として、出演アーティストが全て自身の担当というフェスを立ち上げ、日本のイベントシーンでも異彩を放つ。アーティストからの信頼も厚く、ゆるいスタイルがモットー。フェスの時は率先して楽しむのも真骨頂。
加藤 真樹子
FM802に所属するDJ。大学在学中にラジオ制作に携わりながら、ラジオDJ、イベントMC、テレビ番組のレポーターなどを経て2002年にFM802でデビュー。“カトマキ”の愛称で親しまれ、現在は月〜木11:00〜14:00の『UPBEAT!』を担当しながら、イベントMCや雑誌での音楽レコメンドの執筆、アロマセラピストとしても活動中。『たとえばボクが踊ったら、』では、第1回目からMCを担当している。