Interview & Writing
前出 明弘

1994年にアメ村で『TANK GALLERY』をオープンして以来、『digmeout CAFE』や『digmeout ART&DINER』とステージを変えながら、アートや音楽、ファッションなどのカルチャーを縦横無尽に横断し、ユースな僕らに生きた情報を届けてきてくれた古谷さん。そんな関西のカルチャー番長が、いよいよミナミで再始動!場所は、心斎橋PARCOの地下2階に3月18日に誕生する『心斎橋ネオン食堂街』。そこに、古谷さんの新たな情報発信拠点『TANK酒場』がオープンするってことで、早速話を聞いてきました。この場所のこと、今の時代のこと、これからのこと、みんな必読です。街も人もグルーヴしておもろいことがどんどん起きてく、さぁミナミが、大阪が、またいちだんとアツくなりますよね、古谷さん!

ミナミに、いろんなカルチャーの集積地となる場所をつくるために。

『TANK酒場』オープンおめでとうございます!古谷さんがミナミで再始動するってことで楽しみが尽きないんですが、まずは『心斎橋ネオン食堂街』について聞かせてください。この場所のプロデュースにも参加されたんですよね?

ありがとうございます。そうですね、ちょうど2019年の後半あたりにPARCOさんからお話をもらって。昨年、心斎橋PARCOは9年ぶりに復活したんやけど、新たに始めるタイミングで地元の人と一緒にしたいってことで、ヤマモトヒロユキさんやオガワジュンゾウさん、南方学さんたちとプロデュースメンバーにジョインしたんですよ。

心斎橋PARCOの地下2階にオープンする『心斎橋ネオン食堂街』。人気店から個性的な店、こってり濃いめの店まで、よくあるフードコートとは一線を画す充実のラインナップです。

ミナミでいろんなカルチャーを仕掛けてきた錚々たるメンツですね。

ホンマにね。これまでも一緒に動くことも多かったし、人を集めるのにも長けてる方々やし。だから、当初はこの場所にいかに人を集めるかをずっと考えてて。でも…。

そんなタイミングでコロナ禍になってしまったと。

そう、必然的に人を集めるのが難しい状況になってしまったから。今まで考えてたことを一回フラットにして、どんな場所にすべきかを改めて突き詰めていった。それで僕らの出した答えが、いろんなカルチャーの集積地となる場所にすること。個性的な飲食店だけじゃなく、カルチャーを軸に人がボーダーレスに集えるような場所にすべきだなと。

コロナ禍の影響で方向性が変わったことで、空間にも違いが生まれたんですか?

今話している『TANK酒場』のカウンターも、当初はなかったからね。元々の計画ではフリースペースで考えてて、イベント会場みたいにするつもりやったんです。でも、カルチャーの集積地をつくるならコミュニケーションのとりやすいカウンターは必要やったし、人と人をどんどん繋げていくためにもマストやなと。カルチャーの話ができる人を招いてカウンタートークもできるし、『スタンドそのだ』のラーメンを食べながらとか、『ニューすしセンター』の寿司を出前して話を聞くのもおもろいしね。

その絵面を想像するだけで、おもろいですね。なんか大阪的なユルさというか、混ぜこぜ感というか。

それプラス、音楽もあるし。最近はフードホールも定番化してるけど、DJブースを置いてブッキングもしっかりしてる場所はなかなかないんじゃないかなと。やっぱり音楽はカルチャーの中でも重要な要素だから、『TANK酒場』としてはもちろん、『心斎橋ネオン食堂街』全体としても、アートやファッションも絡めながらイベントを仕掛けていきたいんですよね。例えば、このフロアには大きなビジョンがあるのでそれを活用してアートイベントもできるだろうし、夏フェスのプロモーションイベント、空間の広さを生かしたマーケットイベントもできると思ってる。そんな時にはやっぱり音楽が欠かせないからね。

カウンターにはDJブースを常設。音がガンガン鳴るってわけじゃないですが、音を楽しみながら過ごせるのもここならではの魅力なのです。

飲食店が集まってるだけじゃなくて、何かを仕掛けたり、何かを発信する場所があるってのが他との違いですね。古谷さん自身もそうでしょうけど、僕らにとっても好奇心がどんどん広がる場所だなと。

好奇心もそうだし、夢だって広がるよね。まぁ、コロナな状況だからすぐに全てを実現できるかは分からないし、人を集めすぎても怒られてまうから。やっぱ怒られるのはイヤやん(笑)。だから、とりあえず走りながら考えてやっていこうと思ってる。ただ、『心斎橋ネオン食堂街』も『TANK酒場』も人と人の繋がりが生まれて、新しい何かがカタチになっていく場所であることは間違いない。

今、弱ってしまってるエンタメを、ここからもう一度盛り上げていく。

『TANK酒場』はフロアの中心にあり、カルチャーの集積地としてはもちろん、情報発信の拠点にもなりそうですね。そんな場所での古谷さん自身や『TANK酒場』だからできることについて、詳しく教えてください!

1994年に『TANK GALLERY』をオープンして、『digmeout CAFE』や『digmeout ART&DINER』を経て、ミナミに拠点を構えるのは約2年ぶり。『TANK酒場』は先に話したカルチャーの集積地であり、情報発信の拠点としてはもちろんなんだけど、僕らだからできるはずやと考えてることがあるんです。

そこめちゃ気になります!

コロナの影響で変わったのは働き方だけじゃなく、遊び方だって大きく変わった。だからこそ、集客重視のイベントではない“新しい何か”を生み出してつくっていくことは、この場所にいる僕らやからできると思う。“新しい何か”ってすごく抽象的かもしれんけど、「まずは何がおもろいか!」ということを走りながら突き詰め、カタチにしていく。それが、一つ目の僕らだからできること。

大きなイベントはなかなか難しそうですし、“新しい何か”がカタチになれば、みんなめちゃめちゃうれしいと思います!

そして、もう一つのミッションが、関西のエンタメをミナミからもう一度盛り上げていくこと。コロナ禍になって1年が経つし、それぞれがこの状況との向き合い方だったり、ディスタンスを分かってると思うから、そこを理解しながら遊んでいかないとホントにエンタメが死んでしまう。さすがにがっつりライブとかのド真ん中なエンタメはできないけど、この場所を生かしながら僕らならではのアプローチでエンタメを盛り上げることはできる!その役目を担っていきたいと思ってますね。

『TANK酒場』のショップカード。インスタやツイッターのハッシュタグは、#カルチャー酒場でよろしくどうぞ!ちなみにロゴは、ハンサムデザインによるもの。

なるほど!カルチャー集積地であり、情報発信拠点であり、エンタメの復活地点でもあると。

僕らから仕掛けることもあるし、例えば「今日、ミナミで何かおもろいことありますか?」ってお客さんに聞かれたら、「こんなあるよ、あんなのもあるよ」と言えるようなインフォメーションセンターの役割も果たしていきたい。それは90年代から『TANK GALLERY』で一貫してやってきたことやし、そのスタイルはここで働くスタッフにもシェアしてますね。そして、『心斎橋ネオン食堂街』のフロア全体でも、そんなスタッフの方々が増えていくように旗を振っていきたいなと。そうなれば、各所にあるエンタメを後押しすることにもなるし。

まさに街のカルチャー案内所ですね。『TANK酒場』含めて、そんな環境になっていけばミナミにいろんなうねりが生まれたり、もっと活気づきそうな気がします。

そうそう、2025年には大阪万博もやって来るし。万博目当てに来たお客さんにも「あそこ行きました?」とか「USJに行ったなら、ちょっと趣向を変えて味園ビルもありですよ」とかね。インターネットで得られる情報だけじゃなくて、この場所で得られるリアルな情報も大切やと思うんです。表面の情報からもう一つ階層を下げたディープな大阪を知ってもらえたら、「大阪めちゃおもろいやん!」ってなるんちゃうかなと。いろんなカルチャーやエンタメと人を繋げ、大阪のおもろさを外に伝えていくことも、僕らがここにいる意義になると思うから。

90年代から関西のカルチャーシーンをバックアップ。カルチャーやエンタメのインフォメーションセンター的な役割を果たしながら仕掛けていくスタイルは、昔も今も変わらず。

来阪するお客さんにとっても、よりリアルな情報が得られるのはマジでうれしいと思います。それに、コミュニケーションを深めるという点でも、『TANK酒場』のカウンターが生きてくるんですね。古谷さんも基本的には店頭に?

ここが拠点なので、基本的にはいますよ。でも、自分がずっと前に出るんじゃなくて、次の世代の顔になるような子たちも育てていきたいなと。僕らも街で出会った先輩たちに遊んでもらい、成長させてもらってきたから、店のスタッフも含めて今度は自分がその番になってると思うんですよね。

古谷さんはもちろん、次の顔になるようなスタッフや街の人が増えて、ここに集まる。『TANK酒場』自体も、大阪の顔的な場所になりそうですね。

街のおもろい人らが集まってる光景は、見てるだけでもおもろいやろうしね。自然と活気も満ちてくると思う。ただ、この場所が吹き抜けで地下1階からも丸見え状態やから、上からの視線がずっと気になってて(笑)。変なカッコはできへんなと思ってます(笑)

3月18日にいよいよオープン!いろいろ仕掛けていくから、お楽しみに。

ついにオープンですが、今言える範囲で情報解禁してもらってもいいですか?

グランドオープンは3月18日ですが、前日のレセプションでは元祖歌謡曲ナイトでお馴染みのmr.jin君にDJで登場してもらいます。そして、オープン当日の3月18日は『スタンドそのだ』オーナーの園田君、3月19日はKYOTO JAZZ MASSIVEの沖野好洋さんがDJを担当。20日は現在ブッキング中なので、まだ内緒です。

フロア中央の柱には絵師である東 學さんの原画を展示。墨画のイメージが強い東さんですが、それとは違う作風で描かれてるのも見ものです。3月17日のレセプションではライブペインティングも披露するとのこと。

のっけから『TANK酒場』らしいメンツの方々が登場するんですね!

DJのタイムスケジュールは夜の時間帯になると思いますけど、詳細は『TANK酒場』のインスタをチェックしてもらえれば!20日以降も週末をメインにいろんな方々をブッキング予定だし、GWあたりにコロナも少し落ち着いてたらパワーブッキングをかけようかなと。まぁ、この部分も走りながら調整してく感じやね。

でも、状況に合わせて自在にアンサーできるのも強みじゃないですか!他に考えてることはありますか?

今はまだない(取材当時)けど、オープン時には屋台も3台出すんですよ。

屋台ですか?

フリーで使えるような屋台で、そこを使ってPOP UPをしようと思ってて。アートとかファッションとか、雑貨とかね。

なるほど、飲食フロアにそんな屋台が点在してるのは確かに見たことないかも。それもこの場所ならではですね。

別にトライアルしてるわけじゃないけど、この場所は何でもできる可能性を秘めてるから。走りながら考えてカタチにしてくことを繰り返すうちに、“新しい何か”というものの輪郭がくっきりしていくだろうし、そこを色濃くすることでカルチャーが生まれる。今までやってきたこともそうやし、僕らがこれからやってくことも、やっぱりそういうことやと思う。後は、フリペやフライヤーとかも集積させてね。

リアルな情報を人からも、空間からも、そして手に取るものからも得られる。もうすぐオープンですけど、聞けば聞くほどホンマ楽しみです!ちなみにちゃんと聞けてなかったんですけど、お店ではどんなものを提供されるんですか?

そこも大事なことやから忘れんといてよ(笑)。カウンターではお酒やコーヒー、ソフトドリンク、サンドウィッチとか。それと、すぐ隣のコーナーで簡単なフード類やソフトクリーム、シェイクとかを用意してます。先に言ったけど、『スタンドそのだ』や『ニューすしセンター』から出前もお願いできるように話してるから、ごはん系も大丈夫!

フロア中央の少し横にあるのが『TANK酒場』のキッチンスペース。ここでは軽食やソフトクリームなどを販売。

情報ありがとうございます!では最後に、『TANK酒場』を待ちわびてる街のみんなに、メッセージをお願いします!

ここは駅直結でオープンな場所だし、これからいろいろ仕掛けたり、“新しい何か”を生み出してく場所。『TANK酒場』に行ったら、とりあえずリアルな情報が得られると思ってもらえれば!カルチャーが集積する情報発信拠点として、街を、エンタメを盛り上げてくのでみんなで楽しんでいきましょ。よろしくです!!

Profile

古谷 高治

大阪府出身。1994年にアメ村で立ち上げた『TANK GALLERY』が、カルチャー情報の発信基地として注目を集める。2002年には、FM802のアートプロジェクトが手掛ける『digmeout CAFE』の店長に就任し2006年に移転リニューアルしたアメ村の『digmeout ART&DINER』でもマスターを務める。さまざまなエキシビジョンやイベントを企画し、数々のアーティストをバックアップ。

また、京都の“usedを拡張する進化型古着屋 森”のプランニングディレクターも務め、イベント企画を中心に活動中。他にもDJや認定NPOグリーンバードアメ村チームリーダーとしての顔もあり、2019年放送のNHK朝の連続ドラマ「スカーレット」ではアーティストブッキングも担当した。

Shop

TANK酒場

大阪府大阪市中央区心斎橋筋1-8-3 心斎橋PARCO B2F 心斎橋ネオン食堂街

TEL/06-6786-8150
営業時間/11:00〜24:00(23:00 LO)

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