Interview & Writing
羯磨 雅史
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羯磨 雅史
秋好哲也
THE MUSEN IN SHOCK FUNS

アメリカ村のバー『THE BAR』の元マスターであり、おにぎりブランド『ZIPANGU ONIGIRI』、卓球部『THE BAR PINGPONG CLUB』など様々なコミュニティで名を馳せる“teteyan”こと秋好哲也さん。ストリートフード・カルチャーシーンにしっかりと根付き、様々なイベントやSNSでもその顔を見る機会が多い、ミナミの顔的存在。しかし昨年4月、コロナ禍によりTHE BARの閉店を余儀なくされると、たくさんの惜しむ声が街を駆け巡った。そんな秋好さんが、今度は南船場を舞台に飲み屋を立ち上げ。…たものの、オープン日からまさかの時短営業で、さらには2度目の緊急事態宣言…。それでも見ている方向は“真っすぐ”です。

THE BARとおにぎり。大阪のストリートカルチャーシーンを代表するあの人。

THE BARってバーというよりもコミュニティスペースという感じで、いろんなジャンルのお客さんが通っていたイメージですね。

人が人を呼ぶというか、年齢やジャンルを問わず、いろんなひとがお店に来てくれましたね。あと、僕が握る「ZIPANGU ONIGIRI」も口コミで広まったのもあって。

そもそも、なぜ“おにぎり”だったんですか?

ある日、水戸黄門のうっかり八兵衛が夢の中に出てきたんですよ。うっかり八兵衛が川沿いの土手で竹皮につつまれたおにぎりを美味そうに食べてる引きの画で(笑)。その頃は、ファッション的にノームコアが流行っていて、ポケTのポケット部分のプリントを考えていたんですよね。で、その夢を見て、Tシャツのポケットに家紋?…ええな。おにぎりってメイド イン ジャパン …ええな。フェスにおにぎり?…無いな。おにぎり専門店はあるけど、おにぎりが有名な飲食店 …そんなに多くないな。おにぎりや~!! ってなって。

かなりレアな夢ですね、うっかり八兵衛って。

それからはもう、うっかり八兵衛とおにぎりのことばっかり考えて。お米の研ぎかたとか、握りかた、土鍋とガス炊き、電気ジャーの違いとかを研究して。大阪や京都のおにぎり屋さんや、東京の超老舗のおにぎりを食べに行ったり。池田にあるお米屋さんのおばちゃんが握ってる店の前でずっと握り方を見てましたからね(笑)
で、いろいろ掘り下げていくと、僕が好きなのは粘り気があってチョイ固めの、中フワフワが一番いいなーってなって。

イベントにもよく出店されてましたね。

いろんなイベントからオファーを頂いたり、アーティストさんの楽屋でケータリングしたり。
ひとりでやってるので量産できないんですけど、ある大型イベントから一日3000個いける?って言われて。いや無理無理!!っていうのもありましたね(笑)

THE BARの閉店。自身の店をオープンするも、時短営業からのスタート。

THE BARが閉店したのが昨年の4月ですが、やはりコロナの影響で…?

コロナで客足が遠のいたっていうのもあるし、固定費もかさんでました。ただ、コロナがきっかけではあるんですが、自分的にTHE BARでやれることは全部やったかな、って。アメ村という場所で5年やってきて、いろんなイベントやパーティーをやったし、物販もいっぱいしたし。そんな思いもあり、THE BARを閉めるカタチになりました。

きっかけはコロナだったけど、自分を見つめ直す良いタイミングになったと。

まさにそうですね。ただ、たくさんのお客さんに付いていただいてたので、最終の撤去の日にインスタライブやりながらサヨナラプチパーティーみたいなこともして。

それが終わってからは「よし!切り替えよう」って。次へ進むために。

それが、THE MUSEN IN SHOCKの始まりということですね。時期的にはリスクが大きいなかでの決断だと思います…。

資金的にも、ですね。資金調達のために国金に行ったんですが、新規にはいまなかなか厳しくて。
なので、9月中旬からクラウドファンディングをスタートして資金を集めて。2週間で、おかげさまで180名の支援をいただきました。

180名はすごいですね。

ホント、ありがたいことに。実は目標の金額に14万円(9%)足りなかったんですよ。でも、仲の良いタソガレコーヒー(南船場のお店)チームが、リアルファンディングという形で「LAST 9% PARTY」を開催してくれて。そのおかげで目標金額を達成することが出来ました。支援してくれた方のほとんどがTHE BARで出会ったひとたちで。THE BARが無かったら絶対できてなかったことでしたね。

そうやって支援してくれる人たちがいるから、より一層頑張ろうと思えますよね。

お店のロゴデザインを公募したんですが、いろんな方からデザイン案を頂いたり、内装もたくさんの友人が手伝ってくれて。ほんと、みんなが作ったお店です。
11月中旬のプレオープンでは、飲食関係じゃない友人たちにもお店に立ってもらったり。

オープンはいつでした?

12月1日です。ただ、直前の11月27日に時短要請が出て。
「おいおい!オープン景気ないぞ!」って(笑)。しかも年明けには大阪にも緊急事態宣言が発令されて。

でも時期が時期ですしね。後ろを向いても仕方ないんで。
で、今日から2月7日までの予定ですが、ランチでお弁当の販売とイートインをスタートしました。

ちょうど今日から?

そう。テイクアウトのおにぎりの具は日替わりですが、今日はシャケパラダイスと茎わさび。
あとはイートインでガーリック炒飯や麻婆豆腐も始めました。もちろん、おにぎりは竹皮で巻いて(笑)

2月7日(予定)まで提供するランチメニューの一部。
おにぎりのほか、日替わりのおかずや定食も。テイクアウトOK

飲食店がラジオ? 街のコミュニティでつくる新しいメディアが生まれる。

11月中旬に開催したプレオープン時の模様。
はやくこの光景が戻ってくるのを待ちたい。

ようやく完成したお店なのに、夜営業が出来なくなるとは。

後ろ向いても仕方ないんで、前しか見てません(笑)
とりあえず僕がやりたかった飲食部門はスタートさせたので、次はメディアですね。

メディアとは?

『THE MUSEN IN SHOCK』=衝撃のラジオ、という意味なんですけど、YOUTUBEをメインのプラットフォームにして、ファッション・音楽に携わるひととか、それ以外の物作りをしているひととか、いろんな人にフィーチャーして、ていう。インスタグラムとポッドキャストでログに残して。

飲食店がラジオ。新しいですね。

予定では2月末~3月頭にスタートさせます。
それと、いま後ろの壁はコンパネを貼ってるだけなんですけど、ここに手書きでキタからミナミの地図を描いて。で、「あそこの厚揚げが美味いんよ!」とか、「ここのお花屋さん、だいぶセンスいい」とか、お客さんがオススメする店をそれぞれ書いていってもらって。

というのも、自分は大分出身なんですけど、久々に帰ってもどこに行ったらいいか分からないんですよね。街の情報誌とかインターネットで調べたり、インスタグラムで、#大分B級グルメとかでハッシュタグ見て、実際に食べにいったりしたんですけど、そんなに美味しくなかったり…。

たしかに媒体に掲載されているお店ってお金が絡んでたりしますからね。

そうなんですよね。やっぱり、リアルな口コミがすべてだと思っていて。
イケてるコミュニティや、イケてるひと、美味しいお店、変わったお店とかを紹介できるお店をしたかったんで。言わば、街の無料案内所って感じですよね(笑)

この壁にキタとミナミの地図が描かれ、お客さんがそれぞれオススメしたいスポットを記入。どう変化していくのかとても楽しみです。

飲食店が発信するメディア、楽しみですね!!
最後に、このコロナ禍で閉店と開店を経験されていますが、秋好さんとしては正直な所どういった心境ですか?

時短営業すればちゃんと協力金も出るんで、お店休んでいいんですよ。休んだ方が国のためにもなるでしょうし。でも、自粛自粛で、居場所がなくなっちゃうのがしんどいと思うんですよね。例えば奥さんや旦那さんがいて、彼氏彼女がいてってひとはまだ良いとしても、ひとりの人が家で寂しく過ごすのってしんどい日もあると思う。そういう人たちが寄れるお店として、僕は、自分のためというか、街とひとのために動きたいと思っているので。なので、昼だけでも開けときたいんですよね。

Profile

秋好哲也

大分県別府市出身。大阪発の某バッグメーカーにて10年勤め、2015年よりアメ村の雑居ビルで『THE BAR』をスタート。2020年4月に閉店するものの、12月より南船場を舞台に『THE MUSEN IN SHOCK』を始動。おにぎりと銭湯をこよなく愛する36歳。

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