「私の原点はアメリカ村!」。<モマパッチワーク>のモマさんに聞く、地球に優しいモノ作りとご自身のファッションのこと。
私はほかに合う場所が見つからないと感じるほどの大阪人間。今後は自分の原点でもあるアメ村を、もっと盛り上げていきたい。
作品のインスピレーションの元を教えてください。
やっぱり大好きなアンちゃんのファッションですね。今は大阪の街やライフスタイルにマッチしたものを、型を決めずに自由に作っています。今後大阪から引越すことがあれば、作品のスタイルも変わるかもしれないですね。
今後住んでみたい街はあるんですか?
ほかの街をあまり知らないのですが、日本だったら断然大阪がいいです。アメリカだったらオレゴンの森の中とか、音楽の文化がかっこいいセントルイスにも住んでみたいなと。とはいえ、結局日本にいる気がするんです。もともと海外に住むつもりだったけど、結局日本ってめっちゃエエやんって思うことが多くて。ほかに合う場所が見つからないんじゃないかと感じるくらい、私は大阪人間なんです。
ご自身のどういう部分に対してそう感じるんですか?
大阪ってよく喋る人が多いですよね。たぶん、関西以外の地域の人に「道知ってるから教えたるで」って勝手に道を教えても、聞いてくれないと思うんです。それを当たり前に受け入れてくれる大阪の街が好きで、自分に合ってるんやろうなぁと。単純に英語がそんなに達者じゃないんで、人と喋るのが好きやからもっと喋りたいっていうのもあります(笑)。買い物も好きやから、ふらっと出て行って買い物できる環境もちょうど良くて。アメリカの田舎だと、家にこもって生活してる人も多いんです。空いた時間にゆったり森を散歩するのもいいけど、私は動物と話されへんからちょっとしんどいかもなって(笑)
なんだかすごくモマさんっぽいですね(笑)。<モマパッチワーク>には、「地球に優しく」というコンセプトがありますが、環境に配慮することへの想いを教えて欲しいです。
もともと服のどこかにシミがあるとか、フォルムが身体に合わないっていうのを直すために立ち上げたブランドやから、今ある資源をどうすれば再生できるかを考えながら制作しています。<モマパッチワーク>らしいスタイルで、古着を新しく生まれ変わらせることができたらいいなと。
サイズが小さくて着られないけどプリントはかわいいTシャツの身幅を広げるとか、プリントがフロントにあると恥ずかしいから切って別の服のアームに使うとか。そうやって手を加えることで、年齢を重ねても着られる人が増えるんです。私も年々そういう引き出しは増えてきてて。最近は古着を使っていない新品も作っていますが、古着を再利用するリメイクシリーズはずっと続けていきたいですね。
作品に使用している材料は、ほとんどがアメリカ古着なんですか?
日本の生地を使うこともありますが、メインはアメリカ古着やアメリカンコットンかな。最近は現地に仕入れに行けないので、古着屋さんに譲ってもらうことが多いですね。シャツ、ドレス、スウェット……、色んな服の切れ端を組み合わせつつ、今後も使えそうなものは残しています。とはいえほとんどのものが使えてしまうから、材料が増えて増えて困っています(笑)
(笑)。大切に残してる古着や印象的な作品はあるんですか?
実はモノに対する執着心がそこまでなくて。気に入った作品はすぐ売れちゃうし、あんまり覚えてないんですよね。昔集めてた古着のドレスも似合わなくなってきたから、今後の作品にしようと思ってるくらいやし(笑)
だけど、このモンスターシリーズには思い入れがあって。服はタグを付けないとダメだから付けてるけど、モンスターには一切付けてないんです。というのも、これを70’sのプロダクトだと間違ってくれたらおもしろいなって。何年後かに誰かが古着としてこれを見つけた時に、「もしかしたら70’sのモノなのか?」って考えて、それについて話し合ってくれたらおもしろいなぁと。タグを付けなくていいものは、年代のわかるような証拠をできるだけ残さないようにしてるんです。
そのシーンを想像するとおもしろすぎます(笑)。可能性ありますもんね。モンスターシリーズはどういうきっかけで作ったんですか?
ぬいぐるみを持って歩くのが好きなんですけど、大人やしヤバい人やと思われたら嫌やから、持って歩かれへんってなって。大人でも堂々と持ち歩けるぬいぐるみがほしいと思って作りました。
確かにこれなら一緒に歩けそう。かわいいですね。
動物とかじゃないから案外大人も持ちやすいんですよ。目のパーツは日本製にこだわっていて、アメリカの素材はブランドのテイストや憧れがあるからもちろん使うけど、代用できる場合は可能な限り潰れにくいメイドインジャパンを選んでいます。中国産で安く仕入れても、潰れて捨てられると結局ゴミになっちゃうから。
日本の雇用のことも少し意識をしていて、うちは縫い子さんもいるんですが、海外に委託せず日本で作るようにしています。「できるだけ自分にとって身近な大阪のものを買いたい」という気持ちもあって、お菓子1つにしても大阪の会社のものを買っていますね。
素敵な考え方ですね。これから作ってみたいものってありますか?
今の作品とはまったく関係ないけど、陶芸をやってみたいです。全然人に教えてもらう姿勢がないので、いつになるかわからないけど、優しい先生を募集中です。こんなものを作りたいっていうイメージはあるんですけど、なかなか自由にやらせてくれる人っていなくて。基本的なことを教わって、あとは自由にできたら嬉しいな。この場を借りて教えてくれる方を募集したいです(笑)
モマさんの陶芸、絶対かわいいと思います。服だけじゃなく、色んなジャンルにセンスを生かしてほしいです。よく阪急百貨店でポップアップなどもされていますが。今後やってみたいイベントってありますか?
最近自分でテーマを決めて企画することが増えて、すでにいろいろやらせてもらっていて。大体2~3ヶ月に一度は出店させていただいてますね。本当は誘ってほしいんですが、いつの間にか誘う側になっちゃいました。作家さんの知り合いも増えたので、「この人とこの人を合わせたらおもしろそう!」と考えて、イベントで引き合わせるのは楽しいです。
欲を言えば、今は手仕事やハンドメイドのフィールドがメインなので、もう一度ミナミに戻りたいという気持ちはありますね。やっぱりアメ村が私の原点なので。古着屋さんと関わったイベントって、売り上げ云々じゃなくすごく楽しいんですよね。アメ村の町おこしって言うとおかしいかもですが、アメ村をもっと盛り上げるような何かを仕掛けられたらと思っています。古着女子も少なくなってるように思うので、そこにフォーカスできたらいいですね。
その際はぜひお手伝いさせてください!貴重なお話をありがとうございました!
<ポップアップ情報>
「デニムと〇〇」
会期:5月18日(水)〜24日(火)
場所:阪急うめだ本店10F スーク中央街区パーク
「Tシャツ展」
会期:6月15日(水)〜21日(火)
場所:阪急うめだ本店10Fスーク中央街区7番小屋
<モマさんがお気に入りのお店>
DELI(大阪市西区立売堀)
アート、ファッション、音楽、食、すべて揃った不思議なお店。個性的なオーナー家族に会えるのも魅力のひとつ♡
Bonny’s bake shop(大阪市中央区王手通)
アメリカに住んでいた頃を思い出させてくれる、パイやクッキーなど焼き菓子のお店。お散歩がてら、天気のいい日に買いに行くのが最近の癒やしです。
モマ
大阪出身。高校卒業後、アメリカ村の古着店やアパレルで働いたのち、結婚してさまざまな国を転々としながら過ごす。その間アメリカのヒッピーカルチャーに影響を受け、US古着やファブリックを用いたブランド<モマパッチワーク>をスタート。帰国後は大阪市内にアトリエ兼ショップをオープンし、現在はポップアップオンリーにシフト。
MOMA PATCHWORK
「地球に優しく・自然と仲良く」をモットーに、古着や古布、国内外のさまざまな素材を用いた洋服やターバン、帽子などを展開。色や柄をふんだんに散りばめたパッチワークには、独自のセンスと感性、そしてモマさんがこれまで見てきたさまざまなカルチャーが詰め込まれている。