絵本は親子をつなぐコミュニケーションツール。“絵本のつなぎて”として活動するふわはねさんの、ぬくもりあふれるまなざしについて。
大阪・北摂の自宅に併設する「絵本のアトリエ」の本棚には、絵本や児童書をはじめとした書籍がなんと4,000冊以上!広々とした窓からは太陽がさんさんと降り注ぎ、ふんわり本の香りが漂う心地よい空間をやさしく包み込む。今回取材したのは、自身を“絵本のつなぎて”と称し、講師や読み聞かせ、選書など絵本にまつわるさまざまな活動を行う ふわはねさん。大学卒業後は現在と関係のない職種に就いたものの、結婚・出産を機に絵本講師の資格を取得し、興味のあるジャンルを追求することに決めたそう。その温かなまなざしには、親子のコミュニケーションを大切にする気持ちがあふれていました。彼女の活動や“絵本のつなぎて”という言葉に込めた想い、ぜひご一読ください!
子どもに携わる仕事がしたいとずっと考えていて、絵本講師の資格取得をきっかけに活動をスタートしました。
まずは、ふわはねさんの活動について教えていただけますか?
絵本の読み聞かせや絵本講座の講師、選書などに関する文章の執筆を行っています。このような活動は、15年ほど前にスタートしました。ファミリアさんやボーネルンドさんなど、色んな企業とタッグを組んで親子に向けた絵本の読み聞かせイベントをしたり、絵本講師の資格を生かして母親や学校の先生に向けた講座を開いたり。文章の執筆に関しては、絵本の紹介文のほか、絵本ナビさんなどでコラムを任せてもらっています。これだけ!と限定せず、自分にできることは何でも挑戦していますね。
ちなみに“絵本講師”の資格は、どちらで取得されたんですか?
「絵本で子育て」センターというNPO法人の講義を受けると絵本講師の資格を取得できるんですが、私はそこの一期生なんです。資格のための講義があると知って、1年間勉強して取得しました。
そんな資格があるのですね。知らなかったです。日めくりカレンダーも作られていますが、どのような内容のものなんでしょうか?
月の満ち欠けのイラストをメインに、365日それぞれのおすすめの絵本と日々の言葉を添えています。あとは、1日目1円、2日目2円、3日目3円……と365日貯金すると6万円ほどになるので、それが貯金できるよう「今日は何円入れる」みたいなひと言を入れています。数日めくるのを忘れても、金額を合わせやすいように作っているので安心ですよ。忘れても気にしなくていいし、無理せず楽しく貯められるんです。
それはおもしろいですね。貯金が苦手なのでやってみたいです。絵本に関する活動をされる前は、どんなことをしていたんですか?
大学は児童文学科に通っていたのですが、卒業後は総合商社で営業の仕事をしていました。そこではかなり自由にさせてもらっていて、上司に「売りたいものを売っていい」と言われ、自分の好きなものを見つけて仕入れ先に交渉し、小売店などに卸していました。当時から雑貨が好きだったので、かわいい容器や小物を探すのは結構楽しかったです。キティちゃんブームの時にトラベルセットを作ったりしてね。だけど、子どもに携わる仕事がしたいとずっと考えていて、博覧会などのイベントの仕事もしたりと、人と接することは大好きでした。結局そのまま結婚して子どもが生まれたんですが、その子が1歳の時に絵本講師の資格講座を見つけて、これだ!と思い取得することに決めました。
私はフリーランスだから、毎日何かを発信することでファンを増やして付いてきてもらうことが大事だと考えていて。まずは2006年に、絵本の紹介や子育ての話を中心としたYahoo!ブログを始めました。当時はそういう活動をしている人が周りにいなかったので、手探りの状態でしたね。その後はアメブロに移行して、Instagramが主流になって……と、プラットフォームは違いますがずっと発信は続けています。
今はInstagramで毎朝ライブ配信をされてますよね。
ライブ配信は日めくりカレンダーと連動させていて、カレンダーを毎日めくって、その日の絵本の紹介とそこに書かれた言葉を読んでお話をしています。毎週月曜日は必ず絵本の読み聞かせをしていて。月曜日って大人も子どもも憂鬱な日だと思うから、読み聞かせを眺めて楽しい気持ちで始めてもらえたらいいなぁと。バタバタしていて時間を作るのが難しい日もあるんですが、高校生と大学生の娘にも協力してもらいながらがんばっています。毎朝のルーティーンになっていますね。
大学では児童文学を学んでいたとのことですが、絵本にはずっと興味があったんですか?
父がすごく本好きで、今でも毎日何かしら読んでいるような人なんです。父の影響で私も本が好きで身近な存在だったから、何かしら本に関係する仕事ができれば幸せだなぁという気持ちはありました。最初は全く異なる職種に就いていたので、まさか自分がこういう仕事をするなんて思いもよりませんでしたね。自分が積み重ねてきたことって、どこかでつながってくるんだなぁと思います。大学も然りですが、大きなコミュニティの中にいると、どうしても周りと比較して「私なんて……」と考えちゃいますよね。だけど、いざ社会に出るとそれを仕事にする人って意外と少なくて。勇気を出して進んでみてよかったなと思います。
ふわはね
大阪・北摂在住、2人の娘を持つ母。絵本講師の資格を有し、絵本に関する活動を通して作り手、読み手、聞き手をつなげる“絵本のつなぎて”。自宅に併設する予約制のアトリエスペースには、4,000冊以上の絵本や児童文学、子育てに関する本のほか、50種類以上のボードゲームをスタンバイ。