Interview & Writing
羯磨 雅史

ド派手な色使いと独特な柄や模様。見ているだけで気分がアガるポップなアートでお馴染み。
大阪が世界に誇るべきアーティスト、MASAGONさんの個展が現在開催中です。

約1年ぶりとなるエキシビションを目前に控えるなか、個展に関するトークに加え、アートを志したきっかけや、ファッションとアートの融合、立体物から平面物への変化など、MASAGONさんの“アート史”を紐解くべく、迷惑承知でアトリエにお邪魔してきました。

服よりもアートに傾倒した20代。

マサゴンさんがアートに興味を持ったきっかけって何ですか?

20歳くらいから数年、南船場のセレクトショップで働いていたんですよ。で、働きながら趣味で服を作っていたんですが、ずっと洋書を見ていていたのもあって、服よりもアート寄りの考えが強くなったのが大きいですね。本で見た、90年代終わり頃から2000年代初頭に出てきたグラフィティ・アーティスト、例えばバンクシーもそうやし、スペースインベーダー、ゼウスとかアンドレ(サレヴァ)とか。イギリス・フランスのアーティストに衝撃を受けたのがきっかけですかね。

元々アパレルの仕事だったんですね。

そうなんですよ。セレクトショップを辞めたあとも自分の作品を作りながら、東心斎橋の『レイン』(古着屋)で働かせてもらって。それが25歳くらいですね。でも、結構すぐに辞めちゃったんですよ。しばらくして、当時いたスタッフが骨折しちゃったんでピンチヒッターとして復帰して。で、自分の作品をフランスに持って行ったりしてたんで、シフトはかなり融通を利かせてもらってました。2週間とか休みを取らせてもらったりしていたので、オーナーの大沼さんには大変お世話になりましたね。

最初に、アーティスト・MASAGONとして作った作品は何ですか?

それこそ『レイン』で働いていた時に作ったもので、ガンダムの消しゴム(ガン消し)をスタッズに見立てて革ジャンに付けてリメイクしたもので。パリの展示会に持って行って、海外で扱ってもらってましたね。日本のバイヤーの方にはまったく響かなくて(笑)。ほかには手を象ったショルダーバッグを作ったり。

マサゴンさん的なパンク精神を落とし込んだ、アーティスト活動初期の力作。

革ジャンの背中に、“そふとぱんく”…??

PUNK=政治とか社会へのアンチテーゼっていうのがいわゆるパンクのイメージだと思うんですけど、自分の場合はまったく逆の意味として捉えていて。政治のこともあまり分からないし、暴力的でもないし。もっと自分を見て欲しいっていう感情ですかね。別にナルシスト的なことではなく、作品として、という意味で、もっと自分がやっていることに注目して欲しいっていう思いがあって。本来、革ジャンにつけるならスタッズですけど、日本発のアニメなので“日本”っていう気持ちと、誰も傷つけない素材のガン消しを付けて。パリで展示をするので、自分自身を奮い立たせるための戦闘服っていうんですかね(笑)。

いまの作品と比べると、作風というか雰囲気がガラっと違いますよね。

そうなんですよ。この革ジャンを作ったのが2006年くらいだったと思うんですけど、その後は人が入れるくらい大きいやつとか、ぬいぐるみをメインに作っていましたね。でもあるとき、絵を描いてみたくなって。それまで、ほとんど描いたことがなかったんですが、マーク・ジェンキンスという立体物を作るアメリカのアーティストと初めてコラボしたときに、スニーカーのソールの裏に描いたのが最初ですね。その後は空き缶やスケートボードに描いたり、キャンバスにも描きはじめたし。それが2012年です。

自身の心境の変化で、立体物から平面に変化していったと。

そうですね。立体物はいまでもあるんですが、メインはキャンバスに描いたり刺繍したりっていう作品になりますね。

作品は自分の分身。それがどう変化していくかが自分でも楽しみ。

ポップでハッピーな色使いと表情のキャンバスアートは今回のメイン作品となる。

今回のエキシビションはいつぶりですか?

1年ぶりですね。昔は多い時で、年3回くらい開催していたんですけど、いまはひとつの作品に対して時間がかかるっていうのもあって。例えばこれ(写真)だと、直線も曲線も定規やコンパスでひとつ一つ書いていて、マスキングテープを使わずにフリーハンドで塗っているので。離れて見るとシンメトリーに見えますが、近くで見ると手作業の雰囲気が伝わると思います。

一針入魂、どころではない無数のビーズをキャンバスに刺繍した渾身作。この雰囲気は写真では伝わりづらいので、ぜひ会場で。

ビーズの作品もあるんですね。

服を作っているときはビーズを使ったこともありましたけど、キャンバス上では今回が初めてですね。1個2mmのビーズで、5個くらいを糸に通して刺繍していくんですが、ビーズとビーズの間って隙間が空くじゃないですか。それを全部ギシギシに留めていくんですよ。これは大体2ヶ月かかかりましたね。いくつビーズ使ったのかも分からないし(笑)。

質実剛健なミリタリーウエアと、ポップなリフレクターという相反するものを組み合わせるのがMASAGONさんならでは。

こちらの服は?

工事現場とかで着るリフレクター付きのベストってあるじゃないですか?ホームセンターに売っているやつ。そのリフレクターを剥がして切って、ジグザグにミリタリーの服に縫い付けて。<クローム>のリュックを頂いて使っていたんですが、何かリメイクしたいと思ってやってみたのが元ですね。それを服に落とし込めないかな?と思って。ミリタリーって本来目立ったらアカンのに、あえてリフレクターを付けることで、自分的には「なかなかパンクやな」って思ってます(笑)。

空き缶に手書きしたものをあえて潰すことでマサゴンさんの心情を表現。

空き缶の作品が潰れてますね。

数年前に作ったものなんですが、ほかの人の作品でかなり似ているのを見つけたんですよ。自分的には“潰された”と解釈して。それを表したくて、今回は潰しました(笑)。
あと、それを刺繍のみで作ったものもあります。

MASAGONさんと言えば、の幾何学模様で描かれたワード。A〜Zのフォントは近日販売を予定。

こちらは、一見模様に見えますが、アルファベット?ですよね…?

“NEW”、“RUN”とか、“NATURAL BRAIN WASHING”とかすべて文字になっているんですよ。仲の良い<ベン・アイン>というイギリスのアーティストがフォントの会社を立ち上げて。いろんなアーティストが作ったフォントがそこで販売される予定で、そのタイミングで出すつもりだったんですが、遅いので今回先出ししました(笑)

会場で販売されるグッズたち。手前から ロンT“ZIG-ZAG” ¥6,800、ロンT“Beads” ¥6800、
コーチジャケット(ボア付き)¥15,000、スウェットパーカー¥10,000、キャップ¥8,800

並んだ作品をご自身で見ていかがですか?

いつもテーマなどは設けていないんですが、作品は僕の分身と思っていて。 それがどう変化していっているか、っていうのを楽しみにしていてもらいたいですね。

自分としても楽しみですし。

今後予定されていることはありますか?

この個展が終わってからは、来年の2月に東京で開催されるグループ展に出ます。東京で絵をメインに出るのは初めてですね。
あとは、いまよりももっと個展を開催できるようにしたいな、と思っています。

MASAGON EXHIBITION
12/13(sun) - 27(sun)
OPEN : 13:00 - 19:00
at MASAGON PARK(大阪市住之江区北加賀屋1-6-23)

Profile

MASAGON

ショップスタッフ時代より独特の着こなしに注目が集まり、関西・全国誌問わず様々な雑誌媒体に登場。2008年にパリで開催された合同展『Rendez-Vous』で海外初出展して以来、国内外のアート・ファッション業界より注目を集める。現在は主に、大阪・北加賀屋に構えたアトリエにて作品の制作・展示を行っている。

http://www.masagon.net

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